気軽に始めるイラスト!楽しもう~

kigarunieo.exblog.jp
ブログトップ

<   2018年 10月 ( 16 )   > この月の画像一覧

こんばんは。昨日足の中指と人差し指、って人は指さないけど、ドアにぶつけました。ドアを閉めたい私の手と、当たるから引っ込めないといけない足がタイミング、ズレてました。足が1秒ほど遅かった。ガンっ!
足はドアの下に激突。痛すぎて思わず出る声は、まさにマイケル・ジャクソン。「アウ!」もう、地味なのに痛すぎて、こんな時、日本語は出ません。

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-31 22:47 | いろいろ | Comments(0)
少女は酒に酔う両親の目を盗んで、慌てて森にかけだしました。結婚する気などなかったからです。それよりただ少年に会いたかったのです。森の湖のそばに、少年はいつものように座っていました。少女は、結婚の話をする気はありませんでした。少年は彼女を見つけて歩み寄り、「今日も、叱られたの?大丈夫?」そう尋ねました。「叱られていないから、心配しないで。」少女はかすかに微笑んでから、真顔になり、勇気を振り絞って、「私、ずっとここにいてはいけないかな?」少年は、あっ、というように口を開いて、何か話そうとしてからギュッと唇をむすんでしまいました。「いてはいけないのね。」少女が目に溜めていた涙をポトリと落としました。「違うんだ、僕もきみにここにいて欲しいんだ。だけど・・」「分かった。じゃ、勝手にいるわ。」少女はそっぽを向いて座り込んでしまいました。「僕は、僕のことをずっと見守ってくれている人と大切な約束をしてる。」少女は、事情はわからないけど自分が少年を本当に困らせているんだと思いなおし、涙を拭いて立ち上がって「ごめんなさい。帰るね。」トボトボと元来た道を帰り始めました。
彼女を追いかけることが出来ないほど、少年は泣いていました。
**
少女が帰ってしまい、少年は月の光の下、一人でいることが、こんなに淋しいことなんだと気付いてしまいました。彼女に会うまではそんなことを思ったことがなかったのに。
少年は、少女に本当のことを話さなければいけないのかもしれないと思いました。(今度彼女が来たら、話そう・・・)
ずっと大昔の月夜に、空から激しく光りながら小さな星のかけらが、静かな湖面に落ちました。幾歳月も流れた後、そのかけらは美しい青い恐竜になりました。恐竜は心の中で、月と話をすることができました。月は、澄んだ水の中をなめらかに泳ぐ恐竜の姿がきれいでとても気に入っていましたが、湖の中ばかりにいてはつまらないだろうと、月の光がさす間だけ人間の姿にしてやろうと約束しました。少年の姿になった恐竜は、嬉しそうに夜の野原を駆けまわったり、歌を歌ったり、木に登ったりしました。しかしその姿のまま、朝日を浴びてしまうようなことがあれば、それは自分の命が消えるときだと言いました。そうして月は美しい青い恐竜と不思議な心の交流をしながら、長い年月を楽しみました。湖の周りが人間に開発されそうになった時には、人間の思考を操ったり妖しい光を降らせて、人間が森に足を踏み入れないように仕向けました。おかげで森と湖は開発を免れ、月夜には人間の少年となって一人、湖のほとりで、風を感じたり、動物たちとふれあったりして穏やかに暮らしていました。大変幸せでした。
それが、少女と出会って、変わってしまったのでした。自分は普通の人間ではないということは、彼にとってこれまで何の問題もありませんでしたが、少女を幸せにしたいと思った途端自分は彼女のために何も出来ないと思ってしまい、悲しくなったのでした。翌日、彼女が来るのを待ちました。来ないかもしれないと思いながら。少女は少年の様子が気になっていました。彼の様子を思い出すと、もう行かない方がいいのではともしばらく悩みましたが、両親に気づかれないようにやはり家を抜け出しました。
森に行くと少年は木にもたれてぽつんと座っていました。その姿はこれまで見た彼の姿の中で一番寂しそうで、消え入りそうにはかなく見えました。少女はそっと近づいて「ごめんね、来ちゃった。」隣に座りました。「あ。」少年はほっとしたような顔をしました。それから静かな口調で「信じてもらえないかもしれないけれど、僕の話を聞いてくれる?」そう言いました。少女はだまってうなずきました。少年はおそるおそる自分のことを話しました。話を聞いた少女は、その突拍子も無い話の内容にも関わらず、「じゃあ、私があなたの所に来る。湖で暮らす。それならいいでしょう?お願いだから一緒に居させて。」少女は聞き届けてもらえない願いだとは思いながらも真剣に少年に話しました。すると少年は「一つだけ方法がある。だけど、きみはぼくと同じようになってしまって、普通の人間には戻れない。・・・それでもいいのなら。この話を聞いてから最初に巡ってくる満月の夜にこの湖の水を飲んで祈るんだ。チャンスはその一度きり。その時に祈らなければ、次はもうない。それだけじゃなく、その満月の翌日、朝日をあびてしまうと、きみは僕のことを全部・・・忘れる。そして二度と森にも湖にも来れない。」(次の満月の夜・・・その日は、隣町の工場長の息子と結婚式をあげる日)なんという巡り合わせかと少女はぞくっと身が震えました。少年は続けて「それから、約束の日まで、僕らは会ってはいけないんだ。」少年の言葉に、少女は強い覚悟と、自分の気持ちが強く確かでないと、願いは叶わないのだと思いました。
数日が経ち、満月の日の昼間、少女は良く晴れた青空の下、隣町の工場長の息子との結婚式、馬車から花を買ってくれた青年に会いました。彼は、声にたがわぬ大変人の良さそうな、優しい人でした。(この人なら、もしかしたら自分を幸せにしてくれるかもしれない。)明るい日の光の下にいると少年との出来事が全部夢のように思えて来るのです。真っ白の衣装を着せられて、祝福してくれる大勢の人々に囲まれているとますます少年が幻の人のように思えて、今夜、全てのものを投げ捨てて走って行っても少年がいないような気すらして来るのでした。そこへ花屋が青く美しい花を届けに来ました。その花はまさに少年のイメージそのものでした。少女は花束を受け取って、「あの、これは誰からの・・・?」聞くと花屋は「昨日の夜、店のしまいがけに、あんたくらいの年格好の男がここへ届けてくれと。名前は聞いていないよ。」そうつっけんどんに言うと去って行きました。少女は少年が幻なんかじゃないことを確信しました。その瞬間に涙が後から後から頬を伝って流れ落ちました。少年との約束で今日まで一度も会っていませんでしたから勿論結婚のことも彼の耳に入る訳はないのです。けれど届いた花束には不思議なことに、結婚おめでとうとメッセージが入っていたのです。引き止める結婚相手の声を遠くに聞きながら、少女は走り出していました。結婚式は、隣町の工場のすぐ横の綺麗な広場でおこなわれようとしていました。いつもの森まではかなりの距離がありました。少女は花嫁衣装のまま一生懸命走りました。段々太陽が西に傾きはじめました。月がのぼる頃にやっと森に着きました。少年の歌がかすかに聞こえています。森の奥に入っていくと、少年が歌いながら、湖の水の中へ歩いて入って行く所でした。「待って!」後ろから少女が息を切らせながら叫ぶと少年は振り返り驚いた表情をしてから、感慨深そうな目をしていました。少女は「お願い!私を連れてって!!」必死に声をかけました。満月が二人を照らしました。少年は湖の水を両手ですくって、少女に飲ませました。それから少女の手をとってうなずくと、少女も微笑んでうなずきました。そして一緒に祈って、湖に入って行きました。
静かに波を寄せる湖を、月はいつものようにキラキラとやわらかい光で包んでいました。


[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-30 23:21 | 物語 | Comments(0)

月と花のBコース?

こんばんは。夏にここで書いていた、「月と花」には、最初の最初に考えていたあまりにも何か気になるところが多すぎて却下した、別の物語があるという話をちょっとしていましたが、それがだいぶ整理できたので近々ホントに載せたいと思います。だいぶ違うし、私的にはどうもな〜と思ったりするのですが。
Bコースと思っていただければ。
「明日のチケット」は16話くらいで終わる予定でしたがー、長くなっていて、そちらもまたどうなんだー!?なんですが、ま、みんなにそれぞれありまして(^_^;)、よろしければ、のんびりと付き合って頂ければと思います。

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-28 22:17 | いろいろ | Comments(0)
b0314689_11243450.jpeg
バートたちが演技を終えてバックヤードに戻ると、興奮冷めやらずの中、三人で輪になり肩を組んで、「ノーミス!やったな!バート!」ダンがバートの髪をかき回した。ケビンも喜んで、「大したもんだよ。本当に!」ハハハと笑う。指導にあたっていた団員の一人の、ピエロのマックスも忙しそうに走りこんで来て「バート!ファンタスティック!」グッド!というように親指を立てキュッと笑って背中を叩くと、次の段取りにまた軽やかに走って行った。「あ!マックス!」バートがキョロキョロしてるうちに行ってしまい、今度はエディーが「デビュー戦としてはパーフェクトだったな。これからも頑張ってな。」ディアナも「おめでと。良かったわよ。」ニッコリすると彼らもまた、準備に戻る。外にいたソフィアもバックヤードに駆けつけて「バート、すっごいよ!ミスもなくてタイミングもバッチリで!」ずっとバートが熱心に練習していたのを誰よりも見てきたので思わずバートにハグして泣いてしまうと、バートも緊張の糸が緩んだのかもらい泣きしてしまい「ソフィア〜、ありがとう。う〜。」祝福してくれたソフィアを抱きしめた。遅れて、売店のティムにバックヤードに連れてきてもらったジャックは、「お前は、大成功したのに、泣いてんじゃないよ。」バートの額をペシっと叩く「あ、痛っ。」バートがソフィアから離れると、ソフィアに「やっぱり要るじゃないか。」さっき彼女から返してもらったハンカチを渡そうとすると、「今日はいいの!これは良い涙だから。いくら流してもいいの。私、バートがすごい頑張って来たのを知ってるから、成功して本当に嬉しいの。」ジャックはやれやれという顔をしてから、穏やかに笑ってソフィアを見ていた。

バートの母、メアリーはケイトと一緒に一番後ろでバートの様子を見て、これ以上出来ないくらいの拍手をしていた。ケイトは感極まり涙するメアリーに、「バートはよくやりました。目立ったミスはありません。手足のさばきも綺麗でした。デビューには上出来です。」ケイトも以前は空中ブランコや、馬上パフォーマンス、高所でのバランスパフォーマンスなどを器用にこなしていたプロ。まずは母親の目よりそちらの目で厳しく見ていた。「いかがでしたか。お母さん。」メアリーは首を横に振りながら、「ただただ心配で、何が何だか。無事終えてくれてホッとしています。改めて、あの子をお客さんの前に立てるまでにご指導をしてくださってありがとうございます。」そう言ってから続けて「きっとあの子にはあなたと、ご主人との血が流れているから才能があったのでしょうね。」うつむいてから顔を上げ、ケイトを見る。ケイトはちょっと厳しい表情になり、「そんな単純なことではありません。それだけで人前でお金を頂いて行うレベルのパフォーマンスができるものでは決してありません。バートが一生懸命、日々自主トレーニングをして、先輩たちからの特訓に謙遜な気持ちで一途について行く、その精神力や、いつも前向きに進もうとする、素直で強い心こそ大事なのです。それはあなた方ご夫婦の育て方の賜物です。それこそがエンターテイナーとして、お客様を心から楽しませる演技につながるのです。」メアリーはハッとした顔でケイトを見てからもったいない言葉だという照れもあり、落ち着きのない様子で「何と申し上げていいのか・・・。あ、ありがとうございます・・・。」「メアリーさん。お願いがあります。」ケイトはテントの外にメアリーを促し、メアリーも彼女に続いてテントの外に出た。「あの子を・・・。」言いにくそうにケイトが重たい口を開き、「あの子を、私たちの息子として、籍を返して頂けませんか。アレックス・ポートランスに戻してほしいのです。」メアリーは分かっていたし覚悟をしていたけれど、いざとなると即答できずにいると、ケイトが「ご主人とよくご相談なさってください。ただ申し上げておきたいのは、あの子と縁を切って、二度と会わないでくださいと言っているわけではありません。私にとっての、形だけのけじめのようなものかもしれません。もちろん、最終的にはバート本人が決めることだとは思いますが。」メアリーはケイトの申し出に「はい。」と一言それだけ言って、深く頷いた。

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-27 11:28 | 物語 | Comments(0)
こんばんは。ベランダに植えているカランコエのど真ん中に青々した葉っぱがあっという間に出て来て大きくなりました。見た目はほうれん草風。あまりに葉っぱがきれいだったから、花が咲いたりして?なんて観察していたら、花は咲かずに、ドンドンほうれん草ぽく成長。これ、食べられそう〜と思いましたが、そこは、岡本信人さんではないので、無茶はせんとこうと触ってみたら、残念。明らかにほうれん草とは触り心地が違いました。なんかねちょっとしてるような。これは食べたらあかん、そんな感じがしたので、カランコエも窮屈そうだし、引っこ抜きました。
偶然のほうれん草よりも、そもそも種買って、野菜を植えときゃいいやんと思いました。

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-25 17:37 | いろいろ | Comments(0)
b0314689_18245507.jpeg
テント奥のバックヤードで、出演者が上演前に集合していた。団長が「みんな、今日もよろしくな!バートが今夜の公演でデビューだ。拍手〜!」「ヒュー!」「イェーイ!」パチパチパチパチ!「バート、何か、一言!」ピエロのマックスが叫ぶ。団長も「そうだな。バート!一言!」みんなの盛り上がりを静かに静かにと両手を下向きに動かして、バートの背中を押し、前へ一歩出させた。バートは会釈してから「ありがとうございます!すっごい嬉しいです。緊張してますが。失敗しないように頑張ります。」「頑張ってー!」「大丈夫だぞー」みんなが口々に励ます。団長が「マックス、ダン、ケビン、支えてやってくれ。」ダンがニコッと「もちろん。っていうか、こいつは全然大丈夫ですよ。」ケビンも笑って、「そうだよ。いっそ一人でやるか!?」ケビンがバートの背中を叩くと「いやですーもうー!」苦笑いのバート。団長もケビンたちにつられて笑って、「分かった分かった。さっ、じゃあ、今日も怪我がなく、一番良いパフォーマンスでお客さんを楽しませてくれよ。」「イェーイ!」みんな周囲の団員と笑い合い、握手したりハイタッチしたりして、テンションをあげて、集中して行く。団長は裏の動物達のスペースに行って、一頭一頭に「今日も頼むよ〜。一緒に頑張ろうな〜。よーし。」声をかけ、目を合わせて行く。プログラムのはじめの出番の馬を二頭、引き出し、担当の団員に引き渡す。飾りを付けてもらい鞍をのせると、馬は優しい穏やかな目で団員を見て、リラックスした様子。バートの出番はこの馬達の後。テントの中に流れていたBGMがフェイドアウトして、開演5分前を知らせるチャイムの音が流れる。
やがて照明が落ちて、サーチライトのように場内を駆け巡り、いつものドラムロールが切れると団員達の並ぶステージが明るく華々しい音楽と共に輝くと、客席から拍手が起こる。団長のあいさつの後、コミカルな曲がかかり、ピエロのマックスと若手のピエロのジェシーが高くジャンプしながら手を振った後、くるくると側転して入場。最後の着地でジェシーだけがわざと失敗して転がる。しばらく寝そべっていると、ソフィアと仲良しのプードルたちが寄ってきてペロリと舐めると飛び起きと客席から笑いが。マックスとジェシーがプードル達を率いて、回転させたり自転車に乗せたりと賑やかな音楽に合わせて楽しそうに見事にパフォーマンスを繰り広げ、退場と同時に馬たちが走り込み、馬上で曲乗りをする団員。バックヤードではバートがダンとケビンと最終打ち合わせ。「分かったね?バート。」「はい。」馬上パフォーマンスが終わり、セット転換の間、マーメイドが客席通路を歩きながらお客さんに投げキッスをしたり、花をプレゼントしたり、サービス。派手な衣装のぽっちゃりマーメイドがその衣装にいっぱい付いたフリルをふわふわ揺らして、笑顔で手を振ると、お客さんは彼女の行く方行く方へ目線をやる。と、段々とBGMの音量が上がって、ステージ袖に消える前にマーメイドが走り出してそのままなんと勢いよく前転、宙返りまでしてぴょこんと綺麗に着地して激しく踊りながら手をふって退場するとお客さんはざわざわと笑いにつつまれたのち大拍手。見ていて激しく驚いたのは彼女にえらい目に遭わされたジャック。(えー!?マーメイド、何をするのかと思ったら、すごいな。やるなー。)思わず目を見開きあっけにとられ、口も開いてしまう。
音楽が一旦消えて、照明も落ち、ドラムビートに変わり、バートとケビンがピンスポットを浴びて、上手と下手から同時にスピード感あるバック転で登場。客席は大拍手、そしてノリノリの手拍子に。バートがトランポリンに乗ると、速い曲が流れて、ケビンがリングにボールに、箱、ボーリングのピン、ランダムに色んな物を投げるのを見事に受け止めてはジャグリングして、ダンに渡して行く。ダンは次々にそれらを受け取ってクビに掛けたり、蹴っ飛ばしたりしながらこれまた見事に箱の中へと入れて行く。フィニッシュは大きな輪を受け取り、輪を絡めてトランポリンで弾み回転して着地、と同時に持っていた輪を投げて人間輪投げ。立っていたダンにストンとハマる。ダンは驚いた演技をオーバーアクションで表現。拍手〜と客席を促すまでもなく、大拍手が起こる。バートが道具を入れていたコマ付きの箱を引っ張って来て中を覗き込んでから、カラフルな大きな筒を取り出して、音響効果のファンファーレに合わせて、バズーカよろしくドーン!と打つと中からキラキラのリボンが広がり、テントの中を舞い、小さなテディベアがついた、パラシュートが客席に飛び、ふわふわと落下するのをお客さんが手を伸ばしてキャッチして盛り上がる中、三人がステージ中央で手を繋ぎ高く上げて、深くお辞儀をすると、楽しい音楽と共に手を振って全力疾走で退場。BGMの音量が上がり、拍手もテントを膨らませんばかりに全体を包み込んだ。

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-23 09:23 | 物語 | Comments(0)
b0314689_16464082.jpeg
空が淡いピンク色や、紫色に、刻々と変わっていく夕方のひと時、町も優しい色に染まる頃、サーカスにはそろそろお客さんの賑わいが出始めていた。ジムはメアリーに、チケットを渡し、「バートが、今日、初めてお客さんの前でパフォーマンスをします。しっかり見てやってください。それから・・・込み入った話は、どうか明日にしてやってくれませんか。」穏やかにそう言うと「はい。分かりました。」メアリーにはジムがバートの大切な1日が宝物になるようにとの配慮の気持ちがとても伝わった。と、裏口の方から走り出して来たバートが「母さん!来てくれてありがとう。団長と挨拶出来た?」元気な声で嬉しそうに。「え、ええ。ちゃんとご挨拶したわよ。」「緊張して来たよ〜。でもみんなにいっぱい教えてもらったから、成功間違いなし!乞うご期待!なんて。」いたずらっぽく笑うバートに「はいはい。楽しみにしていますよ。皆さんのためにもしっかりやりなさい。」メアリーはうるんだ目で我が子を見る。バートは不思議そうな顔をして、「母さん?泣いてるの?この間帰省した時もなんか、ちょっと様子がいつもと違うような気がして気になっていたんだけど。」「何でもないわ。泣いてないわよ。バートの晴れの日なのに。でも、嬉しくて涙が出ちゃうのかもね。」「ありがとう。母さん。そんなに喜んでくれて。父さんも母さんも・・・、本当は僕に大学に行って欲しかったんでしょ?それなのに・・・自分の好きなようにして、ごめん。」メアリーは涙をハンカチでそっと押さえたら笑って「反対したって、あなたはきっとサーカスに行っていたでしょう?」クスッと笑ったバートが「そうかもね。じゃあ、準備もあるし、そろそろ行くね。後でね!」駆け出して行った。やわらかい茶色のくせっ毛が弾む。ジムとよく似ている。笑うと屈託なく、誰の心も優しくさせるのは、ケイトによく似ている。(私が育てたって、やはりあのお二人の子供だ。)メアリーは認めざるを得ない現実と、その可愛い息子を19年に渡り側に置いてしまったことに、ジムとケイト夫妻は寛大な意を示してくださったけれど、やはり罪悪感とともに心からの謝意を感じていた。

ソフィアは開場されたテントのそばで、いつもにようにポップコーンの屋台を準備していた。バートの売っているキャンディーの屋台は助っ人にダンの中学一年の息子、ティムが手伝ってくれていた。ソフィアがバタバタと、立ったり座ったりしながら、材料や入れ物をセッティングしていると、ティムが「ソフィア、お客さんだよ。」気づかずにいたので教えてくれた。「あ、ごめんなさい!いらっしゃいませ。」顔を上げると、「あ、ジャック。この間は・・・。」「ああ、ごめんね。色々言っちゃって。」ジャックの方が恐縮して「いえ・・・。あのお借りしていたハンカチ。」ソフィアが、ジャックに会ったら渡そうと持っていたハンカチをウエストポーチから出して渡した。洗ってかわいい袋に入れてあった。「ありがとう。別にいいのに。」「いいえ。そういうわけには。あの!私、サーカスでまたパフォーマンスをやってみようって、決めました。ま、みんながいいと言ってくれたらですが。」ソフィアは照れ臭そうにしてから明るく笑った。ジャックは喜んで「そうか!それはいい事だ。誰か反対する奴がいたらおれに言ってくれ。説得してやるから。」そう言うと大笑いして、「頑張って。期待してるから。あ〜そうだ、チケット売り場はどこ?」「えっ?見られるんですか?」「ああ。今日はバートのデビュー戦だろう?絶対観なきゃな。」「バート、喜びますよ。チケット売り場は、あの、今、お客さんが立っていて見えにくいけど、右手のあの小屋です。」ソフィアが指差すと、「了解。ありがとう。じゃあ、またね。」ソフィアは軽く会釈をして、ジャックを見送った後、そのままその後ろ姿を見ていた。横にいたティムが「ソフィア、え?あの人のことが好きなの?」からかうと「なぁに、生意気言ってんの。違うわよ。」そう言ったけれど、ティムは聞く耳持たず「バートの商品の恋が叶うキャンディー、一個買えば?叶うかもよ。少しでも多く売れたら、僕のお小遣いも増えるし。」(恋が叶うキャンディーか・・・。)心の中でソフィアがつぶやいて、しばし考え、「あ!」突拍子も無い声を上げるとティムが「何だよ!?驚いたなーもう。」何か気づいたような顔をしたソフィアに、ティムはニヤニヤして「どうしたの?買う気になってくれた?」ソフィアはニコッと笑って「要らない。」(だって、もう食べたもの!)先日、思わず泣いてしまった自分への慰めに、ジャックがくれた飴は、バートのキャンディーと同じミカエルさんの飴。恋が叶う飴だから。黙ってニコニコしているソフィアに、「思い出し笑いって、ちょっと不気味だよ、ソフィアー。」ティムが肩をすくめて、自分のキャンディーの屋台の方に戻って行った。


[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-18 20:07 | 物語 | Comments(0)

押し花作る。

こんばんは。ミニバラが色を変えながら長い間咲いて、とても綺麗だったんですが、そろそろ終わりで、でもあまりに綺麗な色だから、押し花にしてみることにして、今、重石をかけている。茎からブチッと切ってから、改めてよくよく観察したら、こんなに小さいのに何枚あるんだ!?ってくらい花びらがあった。始めは小さい種なわけで、色んなものが入ってるとも思えない。いや、あるんでしょうが。見えません。そこから水と土と日光、だけでよくもまぁこんな複雑なものに変化して行けるもんだと。芽が出て、茎になって葉っぱになって、ツボミをつけて、咲いて色が変わって、枯れてもまた新たな花を作る。すごいシステム。しかも色が綺麗。あんなグラデーション、人間が絵の具で出すのは大変です。神さまのシステムと色使いは素晴らしいー!
うちはだんだんと寒い時期の花に花壇も模様替え。パンジーとビオラを買いました。
カランコエは凄い勢いで葉っぱを分厚くしています。これから先は凍てさせないように気をつけてあげないといけません。花は来年なんで。適当に家に入れなきゃ。無精者の私でもカランコエは強い。(笑)

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-16 22:34 | いろいろ | Comments(0)
b0314689_07244859.jpegケイトはジムに説き伏せられて、メアリーの居る場所に行った。メアリーはテントの中に座って見ているのではなく、中には入らず、テントの入り口近くの隙間からバートの練習を心配そうに見ていた。音楽がかかっていて、先輩からの注意の声が度々飛ぶ。ハラハラした様子で、眉間にシワを寄せたり、あっと口を開けたりしながら。その姿にケイトは自らジムから離れて、メアリーの側へ歩いて行き静かに話しかけた。「話は主人から聞きました。」「奥様!」中の様子に集中していたメアリーは驚いて、ケイトに向き直り「お詫びのしようもありません。・・・本当に・・・申し訳ありません。」しっかりとケイトの目を見て謝罪して深く頭を下げるメアリーに「どうしてあんなむごいことが出来たのですか?主人の話ではあなたもお子さんを亡くされたことがあるんですよね?それなら、誰よりも子を奪われた母親の気持ちが分かるはずだと思いますが。」ケイトの目に溢れている涙にメアリーは「おっしゃる通り・・・子供を失うことは・・・どんな事よりも、辛くて悲しい事です。私は愚かにもその悲しみに耐えられず、あなたと団長さんのお子さんを奪ってしまいました・・・。つぐない方が分からない程の大罪です。団長さんと奥様が私を存分に裁いてください。」覚悟をして強く瞼を閉じるとメアリーの頬を大粒の涙が伝う。ケイトは首を横に振りながら、「私にだってあなたが犯した罪の裁き方など、分かるものですか!あなたを警察に突き出したって、裁判で吊るしあげたって、19年前に戻るわけでもあの時の悲しみが消えるわけでもないんだから!」叫んだケイトにメアリーは一層辛そうな顔をした。「あの日・・・私は、数日、夜中に起きては泣くことが多かったアレックスを心配して寝不足気味だった。娘は一番活発な年頃で、周囲を確かめずに走り回ったり遊んだりしていて、怪我をしやしないかと気が気でなく、普通ならしないことを、・・・少しなら良いだろうと赤ん坊から目を話離すという誤った判断をしてしまいました。アレックスがいなくなり、自分を責め続けて泣いて、ジムを困らせて・・・。あなたが息子を連れ去らずとも、目を離した隙に、何か問題を起こして命を落としたり怪我をすることだってある。ああ、なんてことをしてしまったのかと、死んでしまいたいくらい辛かった。だからあなたの気持ちも分かります。本当に辛かったから。でもジムの支えもあり、娘のためにも生きなくてはと思い直しました。」メアリーは自分のした事がどれだけケイトを苦しめたかを全身で感じて、その場に崩れるように座って、顔を覆い声を上げて泣いた。
そんなメアリーを見てケイトは同じように彼女のそばに腰を落とし肩を持って「でも、バートはここに来た時から、誰にでも親切で、勿論私たちのことも、いつもまるで自分の両親のように気遣ってくれて。少しでも暗い顔をしていたら、笑わせてくれたり、自ら元気に振舞って支えてくれているようでした。なんて優しい子なんだろうと胸がきゅうっとなって涙がこみ上げるような気持ちになる事が何度もありました。あの子がそんな良い子に育ったのは、あなたがあの時残したメモの通りに大切に育ててくれたからだと・・・思って・・・。」ケイトは声を詰まらせた。続けて「あなたが私からあの子を奪ったことは一生許せないかもしれないけれど、あなたが、大切に思いやりある子に育ててくれたことには、感謝せずにはいられないと、思いました。今、あなたがあの子を見ていた目は私と同じです。あの子のことを私に返しに来てくださったこと・・・、いっそ自分の命の限り黙っていることも出来たことを、あんなに素晴らしい息子に育ったあの子を手放してもいいと思ってくださったこと、よく決心してくださいました。裁きはそれで十分です。」メアリーの肩をケイトが優しく撫でた。

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-15 18:28 | 物語 | Comments(0)
b0314689_22163937.jpeg団長とメアリーが話している頃、買い物から帰った団長の妻、ケイトがテント近くでほかの団員達と道具を運んだり、話していたソフィアに会った。「ただいま。お疲れ様。みんな、いつもありがとう。今日はパンケーキを焼くから食べてね。」ソフィアも団員達も「わぁー!やったー!」喜ぶ。そしてソフィアが、「あっ、お母さん、今ね、お父さんの所に、バートのお母さんが来てるわよ。」ケイトは、あら!っと言う顔をして、「そうなの?じゃあ、ご挨拶して来なきゃね。」部屋に向かった。「あなた〜、バートのお母様がいらしてるって、ソフィアに聞いて来たんだけど。」部屋に入る前に声をかける。「あ、ああ、ケイト、そうだよ。」少し焦りながら平静を装うジム。メアリーは「奥様ですか?!」立ち上がり、入り口に駆け寄り部屋の外に居るケイトと、顔を合わせ「奥様、バートが・・・お世話になって・・・います・・・。」深く頭を下げてそのままのメアリーに、ケイトは、「そんな、まぁ、ご丁寧に・・・。お顔をあげて下さい。私達の方がバートにお世話になっていますよ。ありがとうございます。優しい良い子で、いつも色々と、気にしてくれて。お茶をお入れしますね。」にこにこと優しくあたたかな人柄がにじみ出る団長夫人、ケイトに、メアリーは居ても立っても居られず、「いいえっ!奥様っ!」キッチンへ行こうとしたケイトを引き留めた。「はい?」よく分からず振り返って歩を止めると、ジムがメアリーに「お母様、家内には私から話しますから・・・。その間、バートの練習でもご覧になって来て下さい。誰かに案内させます。」サッと外に出て、たまたま通りかかった、ピエロのマックスに「バートのお母さんに、彼の練習を見せてあげて。案内を頼めるかい?」マックスは明るい声で「バートのママさん?それはそれは。こんにちは。いいですよ。こちらです。」メアリーは眉を下げて振り返り、申し訳なさそうにジムのほうを見ているとジムは幾度か頷いて口元をキュッと引き締めた。メアリーはマックスについていった。
ケイトは不思議そうに、「ジム、どうして?私もお母さんにちゃんと挨拶がしたかったし、お話もしたかったわ。」そう言ってソファーに座った。ジムはケイトの横に座りなおして、「ケイト、話があるんだ。信じられないような話だけど、よく聞いて欲しい。」妻の手をしっかりと握った。「え・・・?」想像を超えた話を聞いたケイトは「それ、本当に?でも、・・・どうして・・・あなた・・・そんな。」にわかには受け止めきれず困惑しているケイトをジムが抱き寄せると「そんな、酷い事、なぜ出来ますか。あなたは許せるのですか。」ケイトが強い口調で言って泣きながら唇を震わせる。ケイトの身を離し、目を見て「全面的に許せるとは、思っていない・・・。けど・・・。」ケイトは悔しそうに「けど!けど、なんですか?!」「私は、アレックスに、また会いたいけれども、心の奥で、どこに誰が連れ去ったか分からないアレックスに会えるわけはないと、諦めてもいた。けれど、あんなに元気な良い青年になって、しかも、サーカスに入りたいと言って自分の所に帰って来るなんてすごい事だと思ったんだ。奇跡だよ。」「奇跡?それだけで片付きますか?あなたは、あの時の悲しみ、寂しさ、そして、この19年の私たちの重い重い傷。はい、お返ししますって、そんな簡単に現実を受け入れられるの?」「ケイト・・・勿論、そんな訳はない。だけど、恨んで彼女を責め続けても、これからもずっとおまえが辛いだけだよ。私は、もう、苦しむおまえは見たくない。」「あなたはそれでいいかも知れませんが、・・・私は無理よ・・・。」悲しい顔で首を横に振るケイトに「今、きっと彼女はバートの練習を見ているよ。一緒に見ておいで。」ジムが言っても「いやよ。」ケイトは涙を浮かべ、また強く首を横に振った。

[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-10-12 22:45 | Comments(0)

イラスト教室のレポート 自作のイラスト、手作り品の紹介など。


by kigaruni_eokaku