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「マーメイド、ごめんね。ティムが学校行く時に顔が合ったら、マーメイドがサラを見てくれてるって言ってたから甘えてしまって。ちょうど戻る時に、旅行会社の人が団体客を受け入れてくれるかって訪ねて来たもんだから話してて遅くなって。見ててくれてありがとうね。で、サラは?」ディアナが周囲を見る。「あ、あ、あ、あのね、ディアナ、それがね、サラは・・、その・・。」言いにくそうにわなわなとマーメイドがつぶやいていると、「マーマー!パーパー!ここだよ〜!」上空に娘の声。エディーが声のする方を見上げて「サラっ!おまえ、なんで、そんなとこに!?」サラは上でまた身を乗り出す。ディアナが顔色を無くす。マーメイドが申し訳なさそうに「ディアナ、ほんっとにごめんなさい。持ってた雑誌が落ちたから拾って、顔上げたらあっという間に居なくなってて、気づいたらあそこに。」「やめなさい!サラ、じっとして!ママがすぐ行くから。」サラは手を振って立ち上がり、笑いながら「ママー、見て〜サラもね、ママみたいに出来るよ。」少し離れた所にあるブランコを指差す。心配して梯子の方に行こうとするディアナをエディーが制止して「おまえが話しかけたら、サラがますます危ないことをしそうだ。ちょっと待ってろ。」「エディー・・・でも、早くしないと・・・。」「サラー、良い子だから、パパの言うこと聞けるか。」「うん。できるよ。サラは良い子だから。」「よし。そこで、ちゃんと座るんだ。足を下ろして。」「わかった。」サラは言う通りにする。「それから、その、横のポールを両手でしっかりと持ちなさい。」「これ?」「そうだよ。そのまま、じっとして。」一生懸命にエディーがサラがはしゃがないように話しかけていると、「ただいまー。どうしたの?」テントの中にジャックとのランチから戻ったバートが3人に話しかけたのを見て、サラがまた立ち上がってしまって「バート!見てっ!サラ、すごいでしょ!」「えー!?なんで?サラっ。どうしちゃったのさ。危ないよ!」エディーが「勝手に上がってしまったんだ。サラの体重だと、非常用のネットもかえって危なくて役に立たないかもしれないから下にマットも用意するよ。」そう言ってから、ため息をついて、もう一度、サラに優しく「サラ。さっきパパが言ったように座っていなさい。パパがすぐ行くから。」サラは喜んでしまい座りそうもなく、「パパ、ブランコ乗せてくれるの〜?」どんどんテンションが上がってしまう。マーメイドがおろおろして、「ダメよ・・。あの子、あれ以上動いたら、足を踏み外しちゃう。」バートがマーメイドに「僕が行くよ。みんなはさっきエディーが言ったように念のためマットを用意しといてよ。」それからはエディーの方に向き直り、「エディー、僕がサラの所に上がってもいいかな?ちゃんとあの子を連れて降りるから。」エディーはバートの申し出に「そうだな。お前はいつも遊んでくれてるし。頼めるか。ごめんな。このロープを持っていけ。」「うん。ありがと。これでサラと僕を結んでおりてくるね。」バートはサラに声をかけずにそうっと、しかし早足に階段とハシゴを上がり、すぐ上に着いた。柱が小さく軋む音でサラが振り返って「あっ、バート。」「やあ。サラ、そのまま。じっとしてて。僕もそこに座りたいんだ。いいかい?」いつもと同じように話しかけた。「うん。」サラはニッコリ。「良い子だ。」肩にかけていたロープを手にしながら、サラの横へ行って抱き上げ座って膝の上に乗せると、自分の身体にロープで結んだ。それから「ねぇ、サラ、どうしてこんな所に上がったの?」しっかり抱っこして、やさしく話しかけると「私もママみたいに、ママとパパと一緒にブランコ乗りたい。」ちょっと寂しそうに呟いた。バートは、サラの髪を撫でながら、「そうだね。ママとパパはカッコいいもんね。でも、ここは、」自分が座ってる所をポンポンと手のひらで叩いて「団長が、上がってもいいよって言った人しか絶対にあがってはいけない場所なんだよ。もちろん、僕もまだ本当は上がっちゃいけないんだ。今日は特別。サラを迎えに来るためにね。」「バートも上がっちゃダメなの?大人なのに?」「そうだよ。ちゃんと、厳しい練習をして、お客さんの前で演技を出来るようになった人しか上がっちゃダメなんだ。ここは、公園にあるタワーや、滑り台のてっぺんみたいに、遊ぶ所じゃないからね。わかる?」サラは、事の重大さが、幼いながら少し理解出来たようでうつむいてコクリとうなづく。バートは続けて「ここから落ちたらどうなる?大けがしたり、悪くすると死んじゃうかもしれない。だから、パパとママはサラをすごく心配してる。」そう言ってから、バートは黙ってしまう。「どうしたの?バート。」サラが顔をバートの方に向け、見上げる。「バート、泣いてるの?泣いちゃダメだよ。サラ、もうこんなことしないから、泣かないで。ね。」サラがバートの頰を小さな手で撫でる。「そうじゃない、そうじゃないんだ。ごめんね、サラ。ちょっと待ってね。」サラを抱えていない方の手で溢れてくる涙に目をこすった。


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by kigaruni_eokaku | 2018-12-02 15:15 | Comments(0)
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バートは、母を送って列車に乗るのを見届けてから、一人、サーカスに戻る道を歩いていた。帰る道の途中のバス停にはジャックがいたが、気が付かずにボーっと歩いていた。「おい、バート。」ジャックの方が声をかけると初めて気づいて「あ、ジャック。おはよう。」バートが返事をした。「朝早くから、こんなとこで何してるんだ?」「ああ、昨日、サーカスを観に来ていた母親を駅まで見送りに来てたんだ。」「そうか。昨夜は、おまえ、すごかったな。おれは、本当に驚いたんだ。やるじゃんか。」「ああ、ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。」「なんだよ、マジで褒めてんだぞ。もっと嬉しそうにしろよ。せっかく初舞台を立派にやってのけたというのに、なんだその浮かない顔は。」「あ、いや・・。ちょっと・・ね。」バートが口ごもっていると、バスがやって来た。バスに乗らなければならないジャックが早口で「お前、昼休み、あるか。」「うん。あるよ。」「わかった。昼休みに、ダニエルの店の隣のカフェで待ってろ。昼、おごってやるから。」それだけ言うとバスに乗り込んだ。歩道を歩くバートの横を過ぎて行くバスの中からジャックが手を振ったのも気づかず歩いている。(あいつ、何、ぼーっとしてるんだ。やっぱり変だ。)バートは、母親にはああ言ったものの、まだ、自分の身に起きたことを抱えきれずにいた。(戻ってどんな顔をしたらいいんだろう。)あゆみはどんどん遅くなっていたけれど、じきにサーカスに、着いてしまった。裏門の門扉を開けて中に入ると、もう、みんなそこここでウォーミングアップをしている。ピエロのマックスが「おはよう、昨日はおつかれさん。ダンとケビンが、もう少しショーアップ出来る変更を考えてるらしいから、着替えたらテントの東側においで。」(いつも通りだ。マックスは、何も聞いてないのかな・・・?)「ねぇ、マックス。」「なんだい。」「あのさ、僕のこと・・・、何か、聞いてる?」「何?何かやらかしたのか。」「なにもしてないよ。分かった。東側だね。」自分の部屋へ戻って着替えて出ると、「あ、バート。」ソフィアが犬たちを連れているのと出会った。「おはよう。ソフィア。」「おはよ。聞いたよ、お父さんから。あなたの話。」「えっ。」それ以上何も言えずにいるバート。「びっくりしちゃった。まさか、自分にお兄ちゃんがいるとは。しかもそれが、バートだったなんてさ。まだ、信じられない。」「僕のお母さんがとんでもないことしちゃって、本当にごめん。」ソフィアが笑って、「それ、バートが謝ること?違うじゃない。あ。アレックスか。」「ア、アレックス・・・って、僕の名前・・・?」なんとも言えない表情のバートにソフィアが「そうだよ。父さんと母さんがあなたに付けた名前。でもさ、名前なんて関係ないよね。バートだって、アレックスだってあなたの存在には変わりなし。」清々しくそう言うソフィアに「ありがとう。」とは言ったものの、ソフィアのいっていることは分かっているし、励ましてくれているのも分かっているのに、まだ曇った表情を消せない。「いつまでもそんな顔してないで、元気出しなよ〜。バートは何も失ってないでしょう?失ってないどころか、こんな可愛い妹と、綺麗で賢いお姉さんが出来たわけでさ。」「可愛い妹?」バートが言うと、「そこはいちいち引っかからなくていい所。私ね、また、本番の公演で、演技をしたいって考えてるの。」犬を抱き上げ、撫でながら、ソフィアが言うと「身体は、大丈夫なの?」バートが心配そうな顔をする。「うん、そりゃ、激しいアクロバティックなことはしない方がいいとは思うから、私なりに出来るパフォーマンスを。バートも応援してね。本当はやりたい気持ちと、怖い気持ちが半々・・・なんだ。だから。」バートは表情を和らげて、「ソフィアなら、出来るよ。」「その顔だよ。バート。さぁさぁ、早く行かないと、ダンとケビンに雷を落とされるわよ。それ行け〜!」ソフィアがバートの背中を押した。
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by kigaruni_eokaku | 2018-11-14 22:44 | Comments(0)
b0314689_22163937.jpeg団長とメアリーが話している頃、買い物から帰った団長の妻、ケイトがテント近くでほかの団員達と道具を運んだり、話していたソフィアに会った。「ただいま。お疲れ様。みんな、いつもありがとう。今日はパンケーキを焼くから食べてね。」ソフィアも団員達も「わぁー!やったー!」喜ぶ。そしてソフィアが、「あっ、お母さん、今ね、お父さんの所に、バートのお母さんが来てるわよ。」ケイトは、あら!っと言う顔をして、「そうなの?じゃあ、ご挨拶して来なきゃね。」部屋に向かった。「あなた〜、バートのお母様がいらしてるって、ソフィアに聞いて来たんだけど。」部屋に入る前に声をかける。「あ、ああ、ケイト、そうだよ。」少し焦りながら平静を装うジム。メアリーは「奥様ですか?!」立ち上がり、入り口に駆け寄り部屋の外に居るケイトと、顔を合わせ「奥様、バートが・・・お世話になって・・・います・・・。」深く頭を下げてそのままのメアリーに、ケイトは、「そんな、まぁ、ご丁寧に・・・。お顔をあげて下さい。私達の方がバートにお世話になっていますよ。ありがとうございます。優しい良い子で、いつも色々と、気にしてくれて。お茶をお入れしますね。」にこにこと優しくあたたかな人柄がにじみ出る団長夫人、ケイトに、メアリーは居ても立っても居られず、「いいえっ!奥様っ!」キッチンへ行こうとしたケイトを引き留めた。「はい?」よく分からず振り返って歩を止めると、ジムがメアリーに「お母様、家内には私から話しますから・・・。その間、バートの練習でもご覧になって来て下さい。誰かに案内させます。」サッと外に出て、たまたま通りかかった、ピエロのマックスに「バートのお母さんに、彼の練習を見せてあげて。案内を頼めるかい?」マックスは明るい声で「バートのママさん?それはそれは。こんにちは。いいですよ。こちらです。」メアリーは眉を下げて振り返り、申し訳なさそうにジムのほうを見ているとジムは幾度か頷いて口元をキュッと引き締めた。メアリーはマックスについていった。
ケイトは不思議そうに、「ジム、どうして?私もお母さんにちゃんと挨拶がしたかったし、お話もしたかったわ。」そう言ってソファーに座った。ジムはケイトの横に座りなおして、「ケイト、話があるんだ。信じられないような話だけど、よく聞いて欲しい。」妻の手をしっかりと握った。「え・・・?」想像を超えた話を聞いたケイトは「それ、本当に?でも、・・・どうして・・・あなた・・・そんな。」にわかには受け止めきれず困惑しているケイトをジムが抱き寄せると「そんな、酷い事、なぜ出来ますか。あなたは許せるのですか。」ケイトが強い口調で言って泣きながら唇を震わせる。ケイトの身を離し、目を見て「全面的に許せるとは、思っていない・・・。けど・・・。」ケイトは悔しそうに「けど!けど、なんですか?!」「私は、アレックスに、また会いたいけれども、心の奥で、どこに誰が連れ去ったか分からないアレックスに会えるわけはないと、諦めてもいた。けれど、あんなに元気な良い青年になって、しかも、サーカスに入りたいと言って自分の所に帰って来るなんてすごい事だと思ったんだ。奇跡だよ。」「奇跡?それだけで片付きますか?あなたは、あの時の悲しみ、寂しさ、そして、この19年の私たちの重い重い傷。はい、お返ししますって、そんな簡単に現実を受け入れられるの?」「ケイト・・・勿論、そんな訳はない。だけど、恨んで彼女を責め続けても、これからもずっとおまえが辛いだけだよ。私は、もう、苦しむおまえは見たくない。」「あなたはそれでいいかも知れませんが、・・・私は無理よ・・・。」悲しい顔で首を横に振るケイトに「今、きっと彼女はバートの練習を見ているよ。一緒に見ておいで。」ジムが言っても「いやよ。」ケイトは涙を浮かべ、また強く首を横に振った。

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by kigaruni_eokaku | 2018-10-12 22:45 | Comments(0)
b0314689_21505114.jpegサーカスに帰るとすぐバートは団長のところに行き、戻った挨拶と共にガラスのオルゴール職人のミカエルのお父さんの話をした。団長は驚き喜んで、「そうかっ!グリーンさんに会ったのか、元気にしてらしたか。ははは。しかしなんでまたお前はあの店に?」バートは自分がダニエルの店で綺麗な花を閉じ込めたキャンディーを気に入ってサーカスで売りたいと思ったこと、そのキャンディーを作っていたのが、たまたまグリーンさんの息子さんだったのだと話した。「で、そのキャンディーを売る約束をして来たのか。」「はい。」団長は明るい表情になって「ふむ。いいかもな。それ。話題作りだ。ディアナや他の女の子の衣装にも花をあしらった物にするとか、何か他にも広がりそうだしな。何より新しいことを始めるってのがいいじゃないか。」バートも笑顔で「ありがとうございます。頑張って売りますから。あ、そうだ、母が団長に近々ご挨拶に伺いたいと。」「ほう。そういえばまだお会いしてなかったな。わかったよ。」母の話をしたら、ガラス細工を見た時の微妙な表情をふと思い出してバートは少し心がざわついた。
数日が経って、バートはダニエルから連絡をもらい、サーカスで売るためのキャンディーを受け取ると夕方の上演に合わせて入り口に店を構えた。ソフィアが、「あら。とうとう開店?」嬉しそうな声をあげる。「うん。恋が叶うキャンディー、売りますよー!」バートがミカエルの店のようにキャンディーがより綺麗に見えるようにと並べていると、1組の高校生くらいの男女が。女の子が、バートの売るキャンディーに目を止めた。「きれい・・・。」男の方は興味なさそうで、「アリッサ、行くぞ、早く来い。」不機嫌そうに少し先のテントの入り口近くから、彼女を呼んだ。女の子は「う、うん。」おどおどしながら、男の後ろに小走りでついて行った。ソフィアが「あの彼氏、感じ悪いわよね。」ポップコーンを入れ物に入れながら呟く。バートは苦笑いして「このキャンディーが高いから、彼女に買わされるのが嫌だったのかなぁ〜。」ソフィアは肩をすくめる。それからほどなく、さっきの女の子がテントから出てきて、バートの店の前に立ち、「それ、本当に恋が叶うんですか?」ショートボブの控えめそうな可愛い女の子に見つめられ、ちょっと気後れしながらバートは「ええ。もちろん叶います。」何の根拠もないのに自信ありげにそう言うのをソフィアは呆れて見ていたが、女の子は「一つください。」勇気を振り絞るような様子で、そう言った。バートはニッコリして「さっきの彼が好きなの?」小さめの声で尋ねると彼女はうつむいてコクリと頷いた。「そっか。叶うといいね。大丈夫。」小さな紙袋にキャンディーを入れて渡した。
しかし彼女がお小遣いをはたいてキャンディーに込めた思いは、たった3日後に裏切られてしまった。バートがソフィアと街へ買い物に出た時、女の子が想いを寄せる男は別の女の子と楽しそうに歩いていた。ソフィアも気付いて「この間のキャンディーの女の子の彼、だよね?」「うん・・。」「一緒にいたの、違う女の子だったわよ。バート、あなたのキャンディー、恋、叶ってないじゃん。」「・・・だね。」軽く冗談のつもりが、バートが真に受けて暗い顔になったので、ソフィアは「やだ、バート、ごめん。そんなつもりじゃ・・。」バートはキャンディーを買ってくれた女の子が気の毒で申し訳ないような切ないような、心持ちになった。

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by kigaruni_eokaku | 2018-09-24 22:49 | Comments(0)
b0314689_21275831.jpeg翌日、先輩エディーに朝からしっかり特訓受けたバートは、ランチを済ませると、昼からの自主トレに備えてゆったりストレッチをしていた。「バート。」トコトコやって来たのは、エディーとディアナの娘、サラ。ゆるい癖っ毛と目元が可愛い3歳ちょっと。「どうしたんだ。もうお昼寝だろ?一人で部屋から出て来ちゃダメだし。」サラはつまらなそうな顔をして「眠たくない。退屈。遊んで。」バートの脚にまとわりつく。「仕方ないなぁ。」バートは、サラを抱き上げると「じゃあ、サラのお家で遊ぼう。な。」「うん!」大喜びで、サラはバートの頰にキスをした。「サンキュー」サラはバートが大好きだし、バートもサラが妹みたいで可愛いので、エディーに子守を頼まれなくてもよく相手をしている。
エディーの一家が暮らす、トレーラーハウスの中に入ると、応接セットのソファーにサラを座らせて、バートは、引き出しの上の籠からぬいぐるみを5つ出すと、「サラ、見ててね。」上手にジャグリング。サラはキャッキャと喜んだ。「よーし、じゃあね、今度はウサギが下に来た時に、手を叩くんだ。」サラは目を輝かせた。「うん。」パチン!「違うよ、今のは象さんだよ。」「あははは。ゾウさんゾウさん」サラはしばらく思いっきり遊んだら、だんだんと眠そうになったので、バートはぬいぐるみを片付け「サラ、お昼寝しよ。」そう声をかけたら「うん・・。あのね、ねんねする時、それ、回すの。」サラが指差したのはまあるいガラス細工のスノードームみたいなもので、オルゴールだった。「ソフィアがね、おじいちゃまからもらったのを、くれたの。ふぁー。」言いながらもう半分寝てるサラ。ガラス細工の中には一輪の花が咲いていて、サーカス小屋、その周りにゾウ、ライオン、ピエロと、色々なサーカスの模型が入っている。ガラスの部分を回すと、コロコロとオルゴールがなる。曲はラビアンローズ。サラは安心しきった様子でソファーの上で、キルトの布団にくるまる。バートはそのオルゴールをジーっと見ていて、(気になる。なんでかな?)しばらく見つめていたら(あっ!おかみさんがくれた花の入ったキャンディーだ!あれに、似てる。)バートはサラを起こさないように、そうっと部屋を出ると、自分のトレーラーハウスへ。壁の状差しに入れていたキャンディーを手にする。(やっぱり似てる。)食べようかなと思ったけど、ソフィアにも見せてから、食べようと、テントの方に向かう。バートはある考えが浮かんでいた。
ソフィアはポップコーンの屋台を手入れしていた。「ソフィア、ちょっといい?」「あっ、バート。どうしたの。」「これ見て。」キャンディーを見せた。「わぁ、きれいね。これ、キャンディーよね。本物のお花みたい。」「本物なんだよ、本当の花を閉じ込めてある。これをここで売ったらどうかと思って。」しばし黙って考えるソフィア、「それ、いいかも!これなら大人の人も買ってくれそう。そうねー、何かキャッチフレーズをつけてみたらどう?恋が叶うとか、幸せになるとか。」バートも納得して「いいね。具体的な方がいいから、恋が叶うにしようよ。」ソフィアが頷き「決まり!話題作りの一つになるわね。」二人は久しぶりに明るい気持ちになった。

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by kigaruni_eokaku | 2018-09-04 22:27 | Comments(0)
b0314689_21380451.jpeg穏やかな夜の森を後にしようとアルベールが少し歩み出すとすぐに、マリーが草の上にエプロンを敷き大切に置いていたあの、アルベールが贈った花嫁衣装の箱とお金の袋が。アルベールは、箱から花嫁衣装を出すと、湖に引き返して小さく波が寄せる岸辺におきました。そうすればマリーに届くような気がしたからでした。「これは、彼のために着るといいよ。マリー。僕からのプレゼントに変わりはない。」月にかかっていた雲が切れ、光がさすと大きな水の動きが、真っ白な花嫁衣装を湖の青い水の中に飲み込みました。
*ーーー*ーーー*ーーー*
b0314689_21361568.jpegアルベールは自宅に戻って身なりを整えるとすぐに、マリーの両親の家に向かいました。二人とも彼女が帰宅しないことをきっと心配しているだろうと思ったからです。両親は彼の顔を見ると、いつものように調子の良い笑みで歓迎しました。そして自分たちが飲んでいるお酒をアルベールに勧めましたが、彼はそれを断りました。彼らには、まるでマリーのことを心配するような様子はなかったのでアルベールは憤りました。「マリーのことなんですが、僕は、彼女の本当の両親を探していました。幸運なことに見つけることが出来て、実は今夜引き合わせました。父親も母親も心から彼女に詫びたので、ご両親の故郷で一緒に暮らすことになりました。」二人は目を丸くして、ポカンとなっています。「マリーの・・・親がいたんですか?」母親が驚き、ポツリポツリとそう言いました。「はい。それで、これまでマリーを育てて頂いたお礼には少ないけれどこれをあなた方にと。」自分がマリーに婚礼支度金にとして用意していたお金を母親に渡しました。父親はすぐさまその皮の袋をひったくるように取り上げると、中身を覗き、「こ、こんな大金を?!いいんですかい?!マリーのやつ、大したもんだなー。本当は金持ちの娘だったのか!?で、あんたとの結婚はどうなるんだい。」アルベールは父親の態度に辟易としながら、「彼女はまだ若いですし、折角会えた本当の両親との時間を大切にしてもらいたいので、一旦白紙にしました。そのこともお伝えに上がった次第です。それでは、私は、これで失礼します。」アルベールは、マリーのいた家を後にしました。

この件のあと、アルベールは、自分の父親に、結婚話がなくなったことの理由、お金の使い道を絶対に言わないこと、突拍子も無い髪の色と、奇妙なことづくしで、きつく説教をされましたが、なんとか約束通り、マリーの住んでいた町の工場を再建しました。町の人たちは大変喜びました。
b0314689_21460692.jpeg自分が心に決めていたことをやり終えると、アルベールは久し振りに森に行き、マリーがよく摘んでいた花を摘み、集めながら、彼女を思い出しました。彼にはマリーも少年も元気に明るく笑いあって暮らしている姿しか浮かんで来ないのでした。そして草の上に横になり、月を見ていました。自分の青い前髪を通して、月が見えました。「この髪の色は君たちとの友情だと思わせてもらうよ。」アルベールはにっこりして、マリーの好きな花の香りに包まれました。
〜おわり〜
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by kigaruni_eokaku | 2018-08-17 17:03 | Comments(0)
b0314689_13011052.jpegアルベールはマリーのいつもどこか淋しげな様子はなにから来るのか、心に引っかかって仕方ありませんでしたが、あえて明るい声で「そう?分かった。こちらこそありがとう。今日来てもらったのは、これを渡したくて。花嫁衣装と、少ないですが、お金です。」(花嫁衣装・・・)マリーは心の中でつぶやきました。アルベールと分かれて、再び馬車で送られて家に帰る途中で、マリーはやはり少年に、彼が話せないでいる本当のことを何があっても聞かなくてはいけないと思い、居ても立っても居られなくなりました。切迫した話ぶりで、「御者さん、すみませんが、ここで降ろしてください。」御者は心配そうに「ご気分でもお悪いですか?」「いいえ、違います。」続けて御者は、「もう、日が落ちます。女性お一人では危ないかと。」「大丈夫です。いつも花を摘みに行っている森ですし、家もここからそう離れていませんし、どうかお願いします。」懇願すると、御者は彼女を降ろして、元来た道を帰って行きました。そう、さっき、アルベールに自分の名前を聞かれて言ったけれど、自分の名前が嫌いで、少年にはいっていませんでした。少年も名前は言いませんでした。でも、今は1秒でも早く彼を見つけるために、彼の名前を何度も大声で呼んで探すために、知りたいと思いました。ただただ走り、いつもの湖につくと、少年は、木にもたれて座っていましたが、マリーに気づいて、驚いて「どうして?!もう来ないと思った。」マリーは「ねぇ、名前を、あなたの名前を、教えて。」早口で少年にそう言いました。「なぜ?」マリーは半分泣きそうになりながら、「今ね、あなたに一刻も早く会いたくて、名前を呼んで探したかったのに、しらないから、呼べなくて、すごく悲しくなったの。だから、教えて。」少年はゆっくりと首を横に振って、「僕には、名前が、ないんだ。」静かにそう言いました。「名前が、ないの?」驚いた彼女に、「きみは、なんていうの?」「・・・マリー。」少年は優しく笑って「よかった、きみには名前があって。マリー。」マリーは表情をこわばらせて唇を噛み締めました。「よくない。私の名前は誰が付けたのか分からないもの。」
〜つづく〜



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by kigaruni_eokaku | 2018-08-11 00:00 | Comments(0)
b0314689_22263200.jpeg次の日、また、少女の前に昨日と同じ馬車が現れて、今日も大金で花を買ってくれました。家に帰ると、両親は、新しいきれいな洋服を着て、テーブルには、すごいご馳走が並んでいます。その上、また少女が大金を持って帰って来たのだから両親は少女にどんどん優しくなりました。両親に優しくしてもらい、笑顔で食卓を囲む、それは、少女がずっと憧れていたことでした。でも、両親の態度の変わりようは少女にとってうれしいどころか、この上なく悲しい出来事でした。両親が優しくなるのはお金を持って帰った時だけだということがよく分かったからです。
少女は家を飛び出しました。少年に会いたくなり、森へと向かっていました。先へ先へと歩いて行くと、少年は最初に会ったよりも少し奥の湖のほとりで歌をうたっていました。それは美しい声でした。少女は、少年の歌を聴いていると辛かったことが嘘のように和らいでいくのでした。
それから二人は毎夜、少女の仕事が終わったら会うようになりました。しかし少年は、少女がお昼に会いたいというと、きまって悲しげに首を横にふるだけで何も話してはくれません。
少女は少年も自分と同じようにどこかの厳しい親方のいるお店か何かで働いていて、それどころではないのだろうと、考えるようになりました。でも少年が時折、風に揺れる不思議なほどきれいな青い前髪の間から見せるさみしい目は少女の心に何かをうったえているようでした。
軽い眠気から覚め、夜明け少し前に少女が花を摘んで帰るとき、ふと気づくといつも少年は彼女の前から黙っていなくなっているのでした。そういえば、少女は少年がどこに住んでいるのか知りませんでした。
〜つづく〜


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by kigaruni_eokaku | 2018-07-28 00:05 | Comments(0)
うちには、家の中のお嬢さん(飼い猫)と、外のボン(外猫、野良猫さん)名前はウニ。がおりますが、今日、ちょっと目を離した隙に、焼き魚の一部をウニにガブリとやられました。コラーーーーーー!うちのお嬢さんは絶対人間の食卓には手を出さないし、これまでの歴代たくさんいた外猫たち、だーーーれもそんなことしなかったんで、びっくり。
まさにサザエさんのオープニングテーマ曲の『お魚くわえたドラねこ、追っかけてー』になってしまいました。いや、追っかけてはいません。わたし、サザエさんではないから。ウニをひょいと持ち上げまして、アホかとコツンとやってポイと放り出しました。
全然懲りないウニは、すぐまた入れてーと来ましたが。。。。全くちょっとは学習してくれよー。でした。

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by kigaruni_eokaku | 2018-01-11 00:17 | Comments(0)

また、猫を描く。


b0314689_21375543.jpgこんにちは。台風過ぎ去り、ほっとする。もうあんまり豪雨は遭いたくない、家の中でも、と竜巻以来思っています。本当に怖かったですからね。
みなさまの所は被害はありませんでしたか?
デザイン事務所時代の友人に手紙を出すためにこれを描いてみました。モフモフの子を描きたかったので。
やはり絵を描くのは楽しいです。年末の展示のためにもっとがんばらないと。間に合わないぞよ。はい。がんばりますー。

その後、母はリハビリしております。どうにか座れる、という訓練。いやいや、ちゃんと座れるようになるための訓練。イチローをごっつくしたような優しい理学療法士さんにああしてください〜こうしてください〜と指示をもらいながら、一生懸命やってました。見てるこっちが力が入って、気が付けばなぜか歯を食いしばってます(笑)。私が歯を食いしばっても仕方ないのですが。

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by kigaruni_eokaku | 2017-09-18 14:36 | Comments(0)

イラスト教室のレポート 自作のイラスト、手作り品の紹介など。


by kigaruni_eokaku