気軽に始めるイラスト!楽しもう~

kigarunieo.exblog.jp
ブログトップ

2018年 08月 30日 ( 1 )

b0314689_23014795.jpegテントの中はお客さんがやはり少なく、空席が目立っていた。17歳になったばかりの団長の次女ソフィアが、ポップコーンの屋台を閉めていた。「あれ?もう閉めちゃうの?」バートが声をかけると、「だってもう、これ以上、お客さんは来ないわよ。」つまらなそうにそう言う彼女を手伝って、屋台にシートをかけた。ソフィアがテントの中を覗いて寂しそうに、「この町、人口も多くないみたいだし・・・。南のもっと大きな町に行った方がいいと思うわ。マックスもやりがいがないわよね。」ピエロのマックスは、本業の演技だけでなく、ちょっとした手品を幕間や、演技の合間に個々のお客さんに見せたりしながら、客席を回っている。バートは髪をかき回しながら、言いにくそうに、「しかしこんな状況になっているのは、この町で3つ目だ。次にどこかへ行っても変わらないかもしれないよ。」ソフィアは可愛い顔をムッと曇らせ、「ちょっと!バート、なんてこと言うのよ!冗談でもやめて。」「冗談じゃないんだ。さっき銀行の人がサーカスつぶれちゃうから僕に早く転職しろって。」ソフィアは空いている客席に座り、「そんなことないわ。私はここが好き。たとえパフォーマンスが出来なくたってここが大好きなんだもん。」彼女はバートが来る1年くらい前に練習中の事故で、日常生活には支障ないが、サーカスの団員として表舞台には立てなくなった。最初は落ち込んだけれど、今は前向きにサーカスのみんなを支える裏方として頑張っている。「僕だってこのサーカスが大好きだ。ブランコ乗りのエディーたちのように颯爽と演技をして、拍手喝采を全身で浴びてみたいよ。」エディーはソフィアの姉、ディアナの夫で、今は夫婦で空中ブランコ乗りをしている。このサーカスの花形である。「バートもそのうちなれるわよ。」隣に座ったバートは「それまでこのワンダーランドサーカスがあればいいけど。アイタッ!」ソフィアはバートの一言に脚を軽く蹴飛ばす。「ごめんごめん。僕も何か考えるよ。ソフィアも頼むよ。さあ、始まるよ。」照明が落ちて、緊張感を醸し出す。ドラムロール。マイクを持った団長の声が響き渡る。「みなさん!ようこそお越しくださいました!今宵は心ゆくまで、夢と希望いっぱいの世界をお楽しみください!」華々しいトランペットのファンファーレとともに団員が一堂に会して音楽が流れる。客席に手を振る客席から拍手と手拍子がおこる。ソフィアはうっとりとその様子を見て、バートは真剣な目線で。全てのプログラムが終わり、お客さんが帰ると、バートはテントの中を掃除して道具を整理していく。ソフィアはラフな私服姿になった姉ディアナから彼女の衣装を受け取り、「ソフィア、ごめん、ここ直しといて。」少し傷んできている衣装の一部を指差すとソフィアが受け取り「うん。わかった。明日はブルーの方着てね。」「OK」ピエロのマックスがすっかり化粧を落として、「バート、おつかれさん。いつもありがとな。あっ。ロッドさんが来てほしいって電話あったぞ。お前も忙しいな。無理するなよ。」ロッドさんは、酒屋で、バートのアルバイト先の主人。「追加配達かな。行ってくるか。」町に出て、ロッドさんの店に行くともう酒瓶入った箱が用意されていて白髪の気のいいお爺さんが「悪いなぁ。ダニエルの店だ。結婚式の二次会とやらで、思ったより売れちまったんだと。」バートは二箱自転車に積んで、こぎ出す。チン、ガチャン、ガチャ瓶が木箱の中で揺れる音を聞きながら、2丁ほど先のよく配達する酒場へ。着くと、騒がしい浮かれた声が外まで聞こえる。オレンジの照明が窓から漏れる煉瓦造りの古い店。扉を開けようとしたら、先に勢いよく開いて、「また来るよー!」店主に扉を開けてもらい、出て来たのは、ジャックだった。
[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-08-30 21:53 | 物語 | Comments(2)

イラスト教室のレポート 自作のイラスト、手作り品の紹介など。


by kigaruni_eokaku