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明日のチケット(第36話)雪雲劇場2

少しの間、手を握ったままになり「あ、ごめん。」手を離して、なんとなく、バートが謝ると、「う、ううん、別に。」アリッサはそんなに気を悪くしている様子でもなかった。 (けど、危うく思いっきりハグしちゃうとこだった・・・。何だ、このノリ・・。)と思ってふと気づく。(ソフィアのノリだ。ん?ソフィアのノリ?)実は自分にもソフィアと同じようなところがあり、感激したり、嬉しかったりしたら、ついって所があるから全然違和感なかったけど、アリッサにはともすれば、誤解を招く・・。考えてみれば、ソフィアは自分の妹なわけで、似たような所があるのは・・・たとえ、幼い頃から一緒に暮らしていなくたってあってもおかしくない、改めて思う。「どうしたの?」考え込むバートにアリッサが覗き込むように前にひょいっと一歩出た。「何でもない。行こう、送るよ。アリッサの家は歩いて帰れる所、それとも何か乗物を?」「バスに乗ると早く着いちゃうから、歩いて帰りたい。」アリッサはちょっと踊るように揺れながら先を歩いた。「僕もそれに賛成。」バートが追いついて笑う。「ねぇ、サーカスのお片づけはいいの?」「マックスが、せっかく君が見にきてくれたんだから、送ってあげなさいって。」「ピエロさん、優しいのね。」アリッサが笑みを浮かべる。「うん。でも、怖い時はめっちゃ怖いよ。」「そうなの?」「うん。僕が生まれる前から、ピエロをやってるんだからね。すごいんだ。身体的なパフォーマンスも勿論だけど、人の心を感じることに長けている。だから、尊敬してる。」アリッサが何度もうなづいて「私にも、とっても優しくしてくださった。」バートは良かったねというように笑顔でアリッサを見た。「ね、バート、さっき、・・・私が、ハイタッチして欲しいってお願いした時、」「うん。どうしたの?」「なんか間があった。どうして?何か考え事してたでしょ。」二人は公園を出て、通りを歩いていた。「何を考えていたのかって?」「うん。」「あのままアリッサをぎゅーってハグしたくなった。」バートは勇気を出して本当のことを言う。「えっ?!」アリッサ、一歩引く。「だよね、だよね、だよね!」バートは広げた両手のひらをまぁ、まぁ、まぁ、というように落ち着いて、と自分に言うようにか、はたまたアリッサに言うようにか、動かす。「・・・別に、よかったのに。」「えっ!?」今度はバートが一歩引く。二人で立ち止まり、顔を見合す。「僕ね、その、軽いノリのつもりではないんだけど、嬉しかったりすると、結構、恋愛感情なくてもハグとかしちゃう方だって、改めて気づいてさ、それが、よく行動を共にしてることが多い、ソフィア、ああ、あの、ポップコーンを売ってる女の子ね。あの子でね、彼女も同じような感じだから、これまであんまり気が付かなかった。」アリッサは途端に表情を曇らせる。「そんなに、親しいんだ。彼女と・・・。」足早になるアリッサ。「あー、待って。違うよ。アリッサ、誤解しないで。似てるのは当たり前で。ソフィアは・・僕の妹なんだ。」初めてソフィアの事をジャック以外の他人に『妹』だって言って、バートは不思議な気持ちだった。アリッサが立ち止まり、振り返り、「聞いた事ないよ、そんなの。バート、一人っ子って言ってなかった?」「ああ、言った。僕だってそうだと思ってたから。」「そう思ってた?」「うん・・・。でも話すと長くなるから・・・。」アリッサは納得いかない顔を崩さず、「思いっきり遠回りして帰ればいいから、話して。」仕方なくバートは自分の身に起こった事、それを知ったのが最近である事を話した。

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アリッサは何も言えずにしばらく黙っていた。バートは落ち着いた声で「で、僕としては、アリッサを妹や、友人にするようなノリでハグしちゃいけないなって思ってやめたんだよ。それが、あの『間』ってわけ。」アリッサはバートの気持ちがわかり、「うん。」涙をためて微かな声で続けて、「大変だったんだね。」バートは、アリッサのかすれた小さな声を聞き取ろうと彼女の方に身を少しかがめると、アリッサの方が、なぐさめるようにフワリとバートを抱きしめた。「大変だったのに、お客さんの前で、あんなに楽しい顔して完璧な演技を見せて、私にも勉強を教えてくれて・・・ずっと、ふつうにしてくれてた。ごめんね。」(えっ!?えっ!?)バートの方がドギマギしながら、「ア、アリッサ。」アリッサの身を離して、「ごめんねって、君、何も悪くないから。むしろ、僕の気持ちを考えてくてありがとうだし。あのね、アリッサ、聞いてくれる?」「うん?」「僕は君が好きです。優しいアリッサ。」心を込めてアリッサを抱きしめた。

by kigaruni_eokaku | 2019-01-02 23:13 | 物語 | Comments(0)

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