気軽に始めるイラスト!楽しもう~

kigarunieo.exblog.jp
ブログトップ

明日のチケット(第28話)雪雲劇場2

b0314689_22072565.jpeg
ダンとケビンの説明を聞いて、バートは自分なりに身体を動かして、彼らに確認したら、助言の通りのアレンジをきれいにやって見せた。「飲み込みが早いな。」マックスが感心する。「よし。2人とやってみろ。」「はい。」何度かやってもミスなく終えたので、マックスが「おい。すごいじゃないか。でも、なーんか面白くない。」ダンが「おれも。」ケビンも「ああ。お前な、顔が怖い。昨日はあんなにイキイキと良い顔をしていたのに。つまらなそうな顔してる。」マックスが頷き「そうだな。形だけだ。もちろん、失敗しないことは、ケガしないためにも大事だ。けど、それと同じくらい表情も大事ってことは分かってるだろう。形の通り出来る余裕があるなら、もっと、柔らかい楽しい表情、出来るだろう。」バートは真顔のままじーっとマックスを見て頷いた。マックスは軽くため息をついてから「とりあえず、今のお前じゃ、ダンとケビンの時間の無駄だ。一人でイメトレでも筋トレでもしてろ。」マックスの言い方は、意地悪ではなかったけれど、プロ意識が足りないということをバートに投げかける。自分がしていることは遊びではない。観に来る人はお金を出して来てくれるんだから、当然だ。バートは3人に頭を下げ「申し訳ありません。」とだけ言って、その場を離れ、基礎的な動きや筋トレをひたすら繰り返し続けていた。集中する事で今、心を占めていることを追い出せる。
しばらくして、倒立していると、逆さのマックスが見えて「バート、昼だぞ。町に食事にでも行くか。」さっきは厳しかったマックス、本当はすごく心配していたようで、そう声をかけると、バートは倒立から、足を下ろしてまっすぐ立って「あ!そうだ。僕、約束があったんだ。行ってきます。ごめん。マックス、ありがとう。」「そうか。気をつけてな。」走り出して行ったバートを心配そうに見送っていた。
店に着くと、ジャックが外のテーブルで一服していた。「ジャック!」「おう。別に走って来なくても。」「気にしないで。持久力つけるためにやってる習慣なだけだから。」「ふうん。そか。」「ところでどうしたの?なんで僕にランチ奢ってくるの?」「お前、朝、様子が変だったから。ひょっとして、団長、サーカスたたむってか?」「えっ?!」ジャックの言葉にバートは驚いて身を乗り出す。「ん?そうじゃないのか。じゃあ何だ。」「何って・・・。」バートが口ごもる。「言いたくないなら、無理に言わなくてもいいけどな。ま、さぁ、色々あるって。誰だって彼女にフラれることもあれば、財布落とすこともある。」「彼女にフラれてないし、財布も落としてない。」「じゃあ、何だよ。話すのか話さないのか。」タバコを灰皿で消して「ランチ、2つ。」店員にピースサインする。「かしこまりました。」バートが重たい口を開いて「僕がお母さんとお父さんの本当の子供ではないって、今朝言われた。」ジャックは一呼吸置いて「なに?え?それ、本当なのか。」「うん。」「で、じゃあ、本当のお前の親は亡くなってたとか、そういうことか?」ジャックは真剣な表情で問う。「ちがうんだ。本当の両親は生きてる。亡くなったのは、僕、の母さんの産んだ本当の子供。僕の母さんが、その悲しみに耐えきれなくて、本当の両親の所にいた僕を、死んでしまった子供のかわりに連れ去って、育てた。」ジャックは深い息をはいてから「それは、今朝のお前の姿に納得だわ。大丈夫か、バート。」「よくわからない。だって僕の本当の両親は団長夫妻だって言われたんだ。母さんが長年苦しめたのが団長とケイトで、僕は、二人とも大好きで、母さんがしたことが申し訳無いし、どんな顔していいのか分からない。」ジャックはバートの辛そうな様子に「えっ!?そうなのか!?なんでまた。でも、それは、相手が誰でもお前が申し訳ないって思わなくてもいいだろう。」ひどく驚いたのち、ため息をついて穏やかにそういう。「ソフィアにも、そう言われた。そうだ。ソフィアが僕の妹ってことになるんだよ?そんな風に思えないよ。」「そんな風に思えないって、まさか好きだったとか言わないよな?」ジャックは昨夜の二人の事を思い出す。「それは無い。全くない。」「良かった。」この良かったにはジャック的には色々詰まってる。「ソフィアには、僕はなにも失ってないって。そうも言われた。」「おれもそう思う。むしろ増えたんじゃないのか。」店員が運んできたランチに手を付けた。


[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-11-23 23:49 | 物語 | Comments(0)

イラスト教室のレポート 自作のイラスト、手作り品の紹介など。


by kigaruni_eokaku