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明日のチケット(第26話)雪雲劇場2

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バートは、母を送って列車に乗るのを見届けてから、一人、サーカスに戻る道を歩いていた。帰る道の途中のバス停にはジャックがいたが、気が付かずにボーっと歩いていた。「おい、バート。」ジャックの方が声をかけると初めて気づいて「あ、ジャック。おはよう。」バートが返事をした。「朝早くから、こんなとこで何してるんだ?」「ああ、昨日、サーカスを観に来ていた母親を駅まで見送りに来てたんだ。」「そうか。昨夜は、おまえ、すごかったな。おれは、本当に驚いたんだ。やるじゃんか。」「ああ、ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。」「なんだよ、マジで褒めてんだぞ。もっと嬉しそうにしろよ。せっかく初舞台を立派にやってのけたというのに、なんだその浮かない顔は。」「あ、いや・・。ちょっと・・ね。」バートが口ごもっていると、バスがやって来た。バスに乗らなければならないジャックが早口で「お前、昼休み、あるか。」「うん。あるよ。」「わかった。昼休みに、ダニエルの店の隣のカフェで待ってろ。昼、おごってやるから。」それだけ言うとバスに乗り込んだ。歩道を歩くバートの横を過ぎて行くバスの中からジャックが手を振ったのも気づかず歩いている。(あいつ、何、ぼーっとしてるんだ。やっぱり変だ。)バートは、母親にはああ言ったものの、まだ、自分の身に起きたことを抱えきれずにいた。(戻ってどんな顔をしたらいいんだろう。)あゆみはどんどん遅くなっていたけれど、じきにサーカスに、着いてしまった。裏門の門扉を開けて中に入ると、もう、みんなそこここでウォーミングアップをしている。ピエロのマックスが「おはよう、昨日はおつかれさん。ダンとケビンが、もう少しショーアップ出来る変更を考えてるらしいから、着替えたらテントの東側においで。」(いつも通りだ。マックスは、何も聞いてないのかな・・・?)「ねぇ、マックス。」「なんだい。」「あのさ、僕のこと・・・、何か、聞いてる?」「何?何かやらかしたのか。」「なにもしてないよ。分かった。東側だね。」自分の部屋へ戻って着替えて出ると、「あ、バート。」ソフィアが犬たちを連れているのと出会った。「おはよう。ソフィア。」「おはよ。聞いたよ、お父さんから。あなたの話。」「えっ。」それ以上何も言えずにいるバート。「びっくりしちゃった。まさか、自分にお兄ちゃんがいるとは。しかもそれが、バートだったなんてさ。まだ、信じられない。」「僕のお母さんがとんでもないことしちゃって、本当にごめん。」ソフィアが笑って、「それ、バートが謝ること?違うじゃない。あ。アレックスか。」「ア、アレックス・・・って、僕の名前・・・?」なんとも言えない表情のバートにソフィアが「そうだよ。父さんと母さんがあなたに付けた名前。でもさ、名前なんて関係ないよね。バートだって、アレックスだってあなたの存在には変わりなし。」清々しくそう言うソフィアに「ありがとう。」とは言ったものの、ソフィアのいっていることは分かっているし、励ましてくれているのも分かっているのに、まだ曇った表情を消せない。「いつまでもそんな顔してないで、元気出しなよ〜。バートは何も失ってないでしょう?失ってないどころか、こんな可愛い妹と、綺麗で賢いお姉さんが出来たわけでさ。」「可愛い妹?」バートが言うと、「そこはいちいち引っかからなくていい所。私ね、また、本番の公演で、演技をしたいって考えてるの。」犬を抱き上げ、撫でながら、ソフィアが言うと「身体は、大丈夫なの?」バートが心配そうな顔をする。「うん、そりゃ、激しいアクロバティックなことはしない方がいいとは思うから、私なりに出来るパフォーマンスを。バートも応援してね。本当はやりたい気持ちと、怖い気持ちが半々・・・なんだ。だから。」バートは表情を和らげて、「ソフィアなら、出来るよ。」「その顔だよ。バート。さぁさぁ、早く行かないと、ダンとケビンに雷を落とされるわよ。それ行け〜!」ソフィアがバートの背中を押した。
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by kigaruni_eokaku | 2018-11-14 22:44 | Comments(0)

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