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明日のチケット(第24話)雪雲劇場2

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初舞台を無事におえた翌朝、バートは母親と駅までの街路樹が美しい、石畳の道を歩いていた。まだ、朝が早いので、ひと気は少ない。バートが「昨日は眠れた?狭かったでしょう?ごめんね。」そう言うと笑った。メアリーは浮かない顔をしながら少し笑みを作って、「あのね、バート・・・。」「どうしたの?」「駅に着いたら、あなたに話がある。」笑みは消えていた。
駅に着いて、カフェテラスで朝食を前に、手を付ける様子もなくメアリーは「バート・・・、母さんは、あなたの本当の・・・親じゃない・・・。」「それ、何の冗談?」バートはゆで卵をテーブルにぶつけて殻をむく手を止めないで笑っていた。「あなたが赤ちゃんの時・・・、他の人の所にいたあなたを・・・私が、自分の子供にしてしまった・・・。」母親の口から出た言葉がにわかには飲み込めず、ただ手を止めて「母さん、どういうこと?わかるように、言ってくれる?」メアリーは当時の自分のこと、耐えられない悲しみに死のうとまで思っていたことをバートに話し、「もし、あの時、あなたが泣いていなかったら、私はあのまま死に場所を探していたと思う。」そう言った。「母さんが辛かったのは分かるけど、じゃあ、僕の、本当の両親は・・・どこの誰なの?」バートがすっかり顔色をなくしているのを見て、メアリーは俯いて泣きながら「ごめんね、ごめんね。母さんが悪かった・・・。」「ね・・・誰?僕の両親は。母さんっ!知ってるんでしょう!?」立ち上がってメアリーに強く言うと「あなたの本当の両親は、ワンダーランドサーカスの団長さん夫妻・・・。」バートは驚きすぎて危うく床に尻もちつきそうになるのを、さっきの大声で立ち止まっていたウエイターがとっさに支えた。「大丈夫ですか?」「す、すみません。」椅子を確認してから座り直し、声のトーンを下げて「団長とケイトが!?僕の両親!?って母さん。えっ!?」バートはコップの水を全部飲んで、大きな息をして「なんでそんな・・・今まで黙ってたの?母さん・・・。団長とケイトは知っているの?」「ええ・・・。昨日、お伝えしたわ。」「二人はなんて?」「え?ああ・・・」メアリーは、バートが自分の身に起きたとんでもない状況より、団長とケイトを心配しているのが分かり、「申し訳ないと思ってる・・・。」噛み合わない返答をすると、バートは「母さん!母さんが死にたくなるくらい自分の子供が大切で、失って辛かったのと同じように、きっと、団長とケイトも同じだったんじゃないの?なんで・・・そんなことしたんだよ・・・。」バートは頭を抱えうつむいて唇をかみしめた。「私は、どうかしていた。あの日・・。みんなの人生を狂わせた。団長さんと奥様にはどれだけお詫びしても足りない・・・。あなたを返してほしいと言われたわ。」バートが顔をあげて母親を見ると、ずっと苦悩の表情で唇を震わせ、真っ赤な目をして涙を落としていた。

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by kigaruni_eokaku | 2018-11-04 21:23 | 物語 | Comments(0)

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