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明日のチケット(第7話)雪雲劇場2

b0314689_22530264.jpeg数日後、サーカスのお休みの日にバートは実家に帰ることにした。「団長、すみません。色々雑用あるのに。」団長は、穏やかに「お前はいつも良くやってくれてる。ここからだと列車で3時間くらいだろう。親御さんに顔見せに行って来なさい。」にこっとした後に団長が少し寂しげな顔になったのを見たバートは「あの!団長!僕、サーカスのお客さんを増やすためにちょっと考えていることがあるんです。まだ、言えないんですけど。」そう言ってから団長に歩み寄り、「なんとかなりますって。元気、出してくださいね。」明るい表情をすると、団長も口元をゆるめて笑顔になり、「心配かけて悪いな。ああ、分かったよ。全く、何の根拠もないって分かっていても、お前が言うとなんか元気が出るから不思議だな。」「ははは。すごいでしょ?では行ってきます。」
バートは駅へと向かった。列車の中でカバンの中からメモを出す。ダニエルのおかみさんから、キャンディーを作っている人の工房の場所を教えてもらったのだ。それが幸い実家からそう遠くなかったので、行ってみることにした。実家より1時間ほど手前の駅で降りて、尋ねながら地図の住所のところへ行くと、石の壁、木の扉の小人の家のようなお店兼、工房があった。中に入るとたくさんのキャンディーが雑貨のように魅力的に並んでいた。「いらっしゃい。」30代くらいの男の人がレジカウンターの所に座っていた。「あの・・・、突然すみません。僕、ダニエルの酒場でこのキャンディーを目にして・・・。このキャンディー、あなたが作っているのですか?」男の人は、「ああ、そうだよ。君は?」「あっ。僕、バート・フォックスといいます。ワンダーランドサーカスで見習い中の身なのですが、あなたのキャンディーをうちのサーカスで売らせてもらえないかと。」「おれは、パティシエのミカエル・グリーン。なぜこのキャンディーを?」バートは自分がこのキャンディーの美しさに取り憑かれたこと、サーカスの存続危機のこと、ひと通り話した。「ふうん。だけど、このキャンディー、安くはできないよ。子供のためだけに作っている安物じゃないからね。一番きれいに咲いた花をこだわりのやり方で閉じ込めてこの美しさを出してるんだからな。」バートは気難しい人だなーと思いながらも「はい。それは・・・。でも売らせて欲しいんです。」「サーカスの入場料と変わらない物もあるんだぞ。」バートは店内を見回して「はい。」それでも引かない。すると、ミカエルは「あのー。やんわり断ってるの、分からないかな?」「薄々、分かってますけど、どうしても売りたいんです。サーカスならたくさんの人の目に触れますし、良い宣伝にもなります。」「別に宣伝できなくていい。」憮然としたその態度は一向に変わらない。カラン。カウベルの音がして人の気配。「お前はガンコだな。商売人になりたいのか、芸術家になりたいのか、どっちだ。」バートが振り返ると年配の男性、チェックのシャツに生成りのエプロンをしてベージュのズボンというラフなスタイルなのに、品のある紳士。「いらっしゃい。隣の私の店も見て行ってくださいよ。」「息子の店に来た客を横取りするとは、呆れるね。」どうやらミカエルの父親らしい。バートは案内されたので真ん中にカウベルが付いたカーテンだけで仕切られた父親の店へと行ってみる。「あーーーー!」なんとその店の棚には、見覚えのあるものがあった。サラが持っていたガラス細工のオルゴールだった。

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by kigaruni_eokaku | 2018-09-10 05:47 | 物語 | Comments(0)

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