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月と花【第11話】雪雲劇場

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少年は「あの、あなたは・・・?」アルベールは「僕はマリーの友達だよ、とにかく今はそんなことはどうだっていい!きみの話を聞かせて。」少年はアルベールの勢いに、少したじろぎながら頷くと、やっと重たい口を開き、自分が親に湖に捨て置かれて、溺れ死ぬ所だったのを月が救って母親のように育ててくれたことを話しました。自分に名前がないのは、身に付けていた物に何も名前がわかるものがなかったからだと。月が水を操って、死ぬところだった自分を助けてはくれたけれど、自分の命拾いは幻かもしれないと、小さい頃から言われていて、いつ消えてもおかしくない・・・と。だから、夜の世界でひっそりと生きなさい、この秘密を知った人は死んでしまうから誰にも話してはなりませんとも月から言われていたのだと、少年がそこまで話した時、ふっとマリーの体から力が抜けて水の中に沈んで行きました。「マリー!」少年とアルベールが同時に叫びました。アルベールはマリーがいる所まで泳ごうとしましたが、なぜかどうしても、身体が動きません。少年も先ほどからの体の具合で薄れゆく意識の中で力一杯マリーの身体を引っ張って、月に向かって言いました。「お母さん!僕が赤ちゃんの時、命を救ってくれてありがとう。僕は幻でもなんでも、あなたのおかげで、生きられたんだ。だからマリーに会えた。感謝しています。どうか僕たちを助けて!お願いだから!」声をあげました。b0314689_17191262.jpegすると、急にふわりとマリーが息を吹き返したので、少年は愛おしそうに抱きしめました。やがてしっかりと意識が戻ったマリーは、少年を見て、ハッと驚き、これまで誰にも見せたことの無い幸せそうな明るい笑顔になりました。少年もそのマリーの笑顔を見て、影のない笑みを彼女に返しました。二人は、一度互いに目を合わせてから、少し離れた所にいるアルベールの方を向いて、黙って頭を下げました。とても穏やかなやさしい表情でした。その時、湖は急に強い光に包まれ、アルベールはあまりの眩しさに目をつぶってしまい、次に目を開けた時には、湖に二人の姿はなく、静かな水面の湖と木々の枝が夜風に揺れて擦れる音がサワサワとしている、普通の夜の森がそこにありました。

「どうやら、僕は生きている、らしいな。夢・・・?じゃないよな。」
アルベールは動くようになった身体で深い息をつきながら、水の中で手のひらを開いたり閉じたりしてみました。岸辺に向かい歩き、湖のほとりの草に腰を下ろして、水面に映った自分を見て驚きました。アルベールの前髪は青く染まっていました。「髪が・・・。」マリーも少年も夢か幻かと思ったけれど、現実に起こったことだったんだと、確信しました。

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by kigaruni_eokaku | 2018-08-15 23:40 | 物語 | Comments(0)

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