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月と花【第8話】*雪雲劇場*

b0314689_13011052.jpegアルベールはマリーのいつもどこか淋しげな様子はなにから来るのか、心に引っかかって仕方ありませんでしたが、あえて明るい声で「そう?分かった。こちらこそありがとう。今日来てもらったのは、これを渡したくて。花嫁衣装と、少ないですが、お金です。」(花嫁衣装・・・)マリーは心の中でつぶやきました。アルベールと分かれて、再び馬車で送られて家に帰る途中で、マリーはやはり少年に、彼が話せないでいる本当のことを何があっても聞かなくてはいけないと思い、居ても立っても居られなくなりました。切迫した話ぶりで、「御者さん、すみませんが、ここで降ろしてください。」御者は心配そうに「ご気分でもお悪いですか?」「いいえ、違います。」続けて御者は、「もう、日が落ちます。女性お一人では危ないかと。」「大丈夫です。いつも花を摘みに行っている森ですし、家もここからそう離れていませんし、どうかお願いします。」懇願すると、御者は彼女を降ろして、元来た道を帰って行きました。そう、さっき、アルベールに自分の名前を聞かれて言ったけれど、自分の名前が嫌いで、少年にはいっていませんでした。少年も名前は言いませんでした。でも、今は1秒でも早く彼を見つけるために、彼の名前を何度も大声で呼んで探すために、知りたいと思いました。ただただ走り、いつもの湖につくと、少年は、木にもたれて座っていましたが、マリーに気づいて、驚いて「どうして?!もう来ないと思った。」マリーは「ねぇ、名前を、あなたの名前を、教えて。」早口で少年にそう言いました。「なぜ?」マリーは半分泣きそうになりながら、「今ね、あなたに一刻も早く会いたくて、名前を呼んで探したかったのに、しらないから、呼べなくて、すごく悲しくなったの。だから、教えて。」少年はゆっくりと首を横に振って、「僕には、名前が、ないんだ。」静かにそう言いました。「名前が、ないの?」驚いた彼女に、「きみは、なんていうの?」「・・・マリー。」少年は優しく笑って「よかった、きみには名前があって。マリー。」マリーは表情をこわばらせて唇を噛み締めました。「よくない。私の名前は誰が付けたのか分からないもの。」
〜つづく〜



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by kigaruni_eokaku | 2018-08-11 00:00 | Comments(0)

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