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月と花【第4回】*雪雲劇場*

b0314689_13361345.jpegこの日、少女の前にあの馬車の人は現れませんでした。それからいく日も馬車は彼女の前に現れることはなく、少女が何日か前に売った売り上げが、底をつき始めると、また両親はきつくあたりました。その夜、少女はまた、悲しくなって森の少年に会いに行き、今日のことを話しました。少年は彼女の話をやさしくうなづきながら、長い時間聞いてくれました。波立っていた彼女の心は静かな夜の水面のように悲しみが消えて行きました。少女は、この時間がずっと続けばいいのにと思いました。
少年もまた、少女のことが可哀想で、ひどい両親の元になんか帰らずにずっと自分のそばに、この森にいればいいのにと思いました。けれど、それが絶対にできないことは、少年が一番よく知っていました。
* *
少女が翌日、花を売れ残らせて、家に帰ったので、恐る恐る扉を開けると、えらく機嫌のいい両親の顔がみえました。母親がすぐに駆け寄り、少女の両肩抱えて「あんた、やるじゃないか。隣町の工場長の息子さんが、あんたをお嫁に欲しいと言って来たよ。今日、立派な青年が、従者を連れて挨拶にきたのさ。」
そして今度は両手をギュウギュウと握って、「一目惚れしたそうだよ。町で花を売るあんたに。」お相手はあの、花を全部買ってくれた人だった。父親は酔っ払いながら、まわりの悪い舌で「世の中にはあり得ないような、おいしい話が、あるもんなんだなー!お前は幸せもんだ。お前と結婚したら、この町の工場も再建してくださるそうだ。」と飲み干したコップにお酒をこぼしながら、また注いでいました。娘が大金持ちと結婚すれば自分たちに暮らしも心配はいらない。そう考える二人はどんちゃん騒ぎ。母親は彼女をじっと見て、「勿論結婚するだろう?日取りは決めてある。来週の日曜日さ。」大きな声で笑い声をあげていました。
来週の日曜日!?少女は、愕然としました。彼女の心に浮かんだのは少年の淋しそうな顔でした。
〜つづく〜


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by kigaruni_eokaku | 2018-07-31 00:34 | 物語 | Comments(0)

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