気軽に始めるイラスト!楽しもう~

kigarunieo.exblog.jp
ブログトップ

月と花【第3話】*雪雲劇場*

b0314689_22263200.jpeg次の日、また、少女の前に昨日と同じ馬車が現れて、今日も大金で花を買ってくれました。家に帰ると、両親は、新しいきれいな洋服を着て、テーブルには、すごいご馳走が並んでいます。その上、また少女が大金を持って帰って来たのだから両親は少女にどんどん優しくなりました。両親に優しくしてもらい、笑顔で食卓を囲む、それは、少女がずっと憧れていたことでした。でも、両親の態度の変わりようは少女にとってうれしいどころか、この上なく悲しい出来事でした。両親が優しくなるのはお金を持って帰った時だけだということがよく分かったからです。
少女は家を飛び出しました。少年に会いたくなり、森へと向かっていました。先へ先へと歩いて行くと、少年は最初に会ったよりも少し奥の湖のほとりで歌をうたっていました。それは美しい声でした。少女は、少年の歌を聴いていると辛かったことが嘘のように和らいでいくのでした。
それから二人は毎夜、少女の仕事が終わったら会うようになりました。しかし少年は、少女がお昼に会いたいというと、きまって悲しげに首を横にふるだけで何も話してはくれません。
少女は少年も自分と同じようにどこかの厳しい親方のいるお店か何かで働いていて、それどころではないのだろうと、考えるようになりました。でも少年が時折、風に揺れる不思議なほどきれいな青い前髪の間から見せるさみしい目は少女の心に何かをうったえているようでした。
軽い眠気から覚め、夜明け少し前に少女が花を摘んで帰るとき、ふと気づくといつも少年は彼女の前から黙っていなくなっているのでした。そういえば、少女は少年がどこに住んでいるのか知りませんでした。
〜つづく〜


[PR]
by kigaruni_eokaku | 2018-07-28 00:05 | Comments(0)

イラスト教室のレポート 自作のイラスト、手作り品の紹介など。


by kigaruni_eokaku