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幾日か過ぎて、休演日、団長のジムはかかってきた電話に出ていた。相手はバートの父親、ジョージだった。休みに合わせて尋ねると前々からの約束で、確認の連絡だった。電話を切ると、ジムは何となく落ち着かず、事務所の中をウロウロしたのち、テントへ行き、腕組みをして客席に座っていた。そこへ手入れした道具の入った大きなケースを持ってバートがやって来て、団長を見つけて「どうしたんですか。」明るい声で話しかけて、隣に座った。「ああ、いや・・・。なんでもないよ。」無理やりの笑みを絞り出してそう言ってから、また真顔になり、「バート、今夜、」言いかけて口ごもる。「え?今夜、何ですか?」団長はバートの方を向いて、お前のお父さんが、来るよ。お前には言わないでくれと口止めされていたけれどな。」「父がここに?」「ああ。仕事の関係で、小さい頃から、毎日夜になったら帰ってくる様なお父さんじゃなかったんだろ?遠くに仕事で出かけて単身赴任で飛び回ってわずかな休暇で帰るようなだったんだろう?あまり甘えることもできなかっただろう。だから、会いたいだろうと、思ってな。」「ああ。そうですね。どうしていつもいないのかな、って小さい時は寂しいこともありましたが、帰ってきたら必ず沢山楽しいことをしてくれて、大事な事は何かを、父なりに僕に伝えていました。年齢に合わせて。だから、仕事でいない時は父の言葉を思い出して、自分が出来ることを精一杯やる、父が帰ってきた時に褒めてもらえるように。それから、僕が父の代わりに母を守る。ってまだこんな頃から思ってました。」バートは手のひらを子供の小さな身長くらいに見立てたジェスチャーをして、照れ臭そうに笑った。「そうか・・・。そうか・・・。」ジムがバートと育ててくれた父親の重ねた時間をしみじみと思った顔は寂しそうだった。「大丈夫?ごめんね。僕の母がやった事で、本当は団長が、」言いかけたバートにジムは首を横に振って「いいんだ。お前は謝らなくていい。笑っていなさい。」まるで幼い子供にするように愛しそうにバートの頭を撫でる。バートが立ち上がって、ケースからいくつかの道具を出して、最初に習った、今では容易いジャグリングをして見せて、「最初は、これ、全部落としてました。すぐ壊して、マックスに叱られてました。」思い出して笑うと、ジャグリングのスピードを上げ、回転や、ジャンプなど、習得したことをやって見せ「でも、今はもっと、難しいことが出来るようになって、お客さんに拍手をもらうことができるようになりました。誰のおかげですか?」団長の方をじっと見た。「【お父さん】のおかげです。」ジムはハッとして、ぽかんと口を開ける。「ただただ、サーカスが好きでたまらないだけで飛び込んできた僕をずっと見守って、助けてくれた【お父さん】の。」ジムはこれまでの思い、ここにバートが来てからの思い、真実を知ってからの気持ち全てが溢れかえった。メガネを外すと、涙を拭って、バートを抱きしめた。「ごめんな、お前のこと見失って、長いこと見つけてやれなくて。お前が幸せだったことはわかっているけど、そんな問題じゃない。本当に悪かった。もっと早くこうしてちゃんと話さなければならなかったのに。すっかり遅くなった。」バートの背中を撫でて、一層つよく抱きしめる。「これは、やっぱり家系だね。」バートも涙が溢れ鼻をすする。でもその顔は笑っていた。「何のことだ?」ジムがバートを離して問うと、「嬉しいとか、感激すると、後先考えず思いっきりハグしてしまうのはポートランス家の血だねってこと。お父さん。」ジムはキョトンとして、涙を拭うとメガネをかけ直している。バートは首から下げていたタオルで顔を拭いて「僕も同じこと、しちゃうから。ソフィアもね。ディアナは普段はしないけど、お酒をのんだらね、同じ。」笑う。続けて「もちろんケイトが一番だよね。ケイトのハグは悩みとか悲しいこと消してくれるあったかいお母さんのハグ。どこで、どんな風に育ったって、僕は間違いなくお父さんとお母さんの息子です。」ジムはまた涙目になって、「バート、すまない。ありがとう。」バートはにっこりして、「もちろん、育ててくれたフォックス家の両親も僕には大切な存在です。父は僕を、それから団長を、困らせたいわけじゃないから、安心して会ってください。団長に無理を言うような事はけっしてないはずです。」(自分が手塩にかけたわけではない息子が、こんな立派な大人になれたのは、間違いなくフォックス夫妻の大きな力なのだ。)ジムは穏やかに黙ってうなづくと、バートにジャグリングの道具を渡せ、という身振りをして受け取ると、見事にいろんなことをしてみせて「昔の腕は落ちてないだろう?中々のもんだ!それ!受け取れ!」ポールを高々と投げ上げる。「えっ?!」バートは驚きながらも、くるくると回転しながら落ちてくるポールの落下地点を予想して移動すると、見事に背面キャッチ。うやうやしくお辞儀をしたのを見て、ジムが大拍手を贈った。
# by kigaruni_eokaku | 2019-01-22 23:00 | 物語 | Comments(0)
ダニエルの店を出たステファニーは、歩きながら、カバンのポケットからさっきジャックと分けたキャンディを一つ取り出して、口に入れた。(わ。すごい。食べたことないわ。こんなに美味しいキャンディ。)足早に歩いていたステファニーだったが、キャンディのほのかな香りとやわらかな甘さを味わいながら、店でのジャックとの会話、気遣い、楽しかった時期のことを思い返して行くほどに、あゆみは緩くなった。(私は・・・ジャックを今でも大好きなんだ・・・。)キャンディと同じくらいの大粒の涙が溢れて頰を伝った。たまたま自分の方に向かって歩いて来ていたおじいさんが驚いて、シワに囲まれた小さな目を見開いた。お嬢さん、大丈夫ですか、とでも言いそうな様子になったので、慌ててすぐそばに止まっていたバス停のバスに飛び乗り、一番後ろの席に座ってサングラスをかけた。涙はポロポロと溢れて、止まることはなかった。二つ目のキャンディを口に入れて、頰をハンカチで押さえた。(このバス、どこへ行くんだろう。)夏はもう終わりを告げているが、並木道の木の葉は、まだ差す光をいきいきと浴びて窓の外を流れて行く。(きっと、ジャックに再会しなかったら、見ることのなかった新しい明日に行くんだわ。彼がくれたこのキャンディのように今日より甘くて優しい明日に。)ステファニーはサングラスを外して、窓を開けると涙は風に飛ばされて行った。

ジャックは、ランチを終えて店を出てから、グリーングラスという会社に向かっていた。それは、サーカスに行った時に見かけたあの、ガラス細工のオルゴールがきっかけだった。何度も団長の所に足を運ぶうち、いきさつを聞いて、ジャックにはちょっとした考えが浮かんでいた。大きな会社の受付で、担当者に会うために名刺を出していた。「本日はどのようなご用件ですか。」「新しい資金の使い方で御社の宣伝の機会を大きく開くお話です。」「かしこまりました。それでは担当の者を呼びますので。少々お待ちください。」「あの、この写真をみてもらえますか。」ジャックは、団長の所にあったガラス細工のオルゴールの写真を出して見せた。女性は少し笑みを浮かべて「ああ、これは会長の。」「会長?」「はい。これは会長の作品です。」「会長の作品?こちらにはないのですか?」「はい。弊社では建築物用ガラス、特殊ガラスなどの工業製品、そして一部家庭用品がお取り扱いの商品となっております。」「じゃあ、これはどこにあるのですか。」「会長の工房です。会長が個人的にされている創作活動、ということになると思います。」と、背後のエントランスで数人のいかにも重役そうな人たちが話しながら歩いてきた。その中に、見覚えのある顔があった。会社のパンフレットに載っていた、今、話題にしていた会長だった。受付の女性も立ち上がり、頭を下げる。ジャックは受付の女性に軽く頭を下げると、会長に駆け寄り、「突然失礼します。私、こういう者ですが、ほんのすこしだけお時間をいただけませんか。」渡された名刺を読み上げる「パークヒルズ銀行、融資課、ジャック・フェリーくん?なら、経理課、じゃないかね。私じゃなくて。」そう言って立ち去ろうとする会長に、「会長、この写真を見ていただけませんか。」会長の歩みを遮ったジャックに秘書らしき男性が憮然として間に入り「会長はお忙しいので、お話は経理課へお願いします。」会長はジャックが持つ写真が気になって、見つめる。「これは、私がジムに作った作品だよ。」懐かしそうに笑う。「そう、そうなんです!そのジムさんが団長をしている、ワンダーランドサーカスについてのお話なんです。」「何?ワンダーランドサーカスの?」そう言ってから、秘書と重役に「悪いが、私の会議参加はこの話が終わってからにさせてくれ。みんなは先に会議室で進めておいてくれ。」「わかりました。」納得いかない顔をしながら、取り巻きの重役たちは、会長から離れた。
会長は、エントランスから、人とあまり顔がささない、廊下の横のついたてのあるミーティングスペースにジャックを案内して、「どういうことだね。」興味深そうに尋ねる。「お忙しいと思いますので手短にお話しします。今、ワンダーランドサーカスは、深刻な財政難です。私はサーカスの融資担当ですが、頭を抱えています。そこで、グリーングラスさんのような、優良な企業さまに、サーカスの協賛をして頂けないかと考えた所存です。」「なるほどね。で、私のメリットはなんだね。」「御社の企業イメージがますます上がります。夢のある企業だと。これ、企画書です。どうか、ご一考ください。では。お時間を頂戴いたしまして、申し訳ありません。」先にジャックが立ち上がる。「わかった。考えておきましょう。良い返事ができるかどうかはわからないけどね。会社というものは、私の自由にはなりませんからね。」冗談ぽくそう言って品良く笑うと会長はジャックの肩をポンポンと叩いて、エレベーターの方へ歩いて行った。

# by kigaruni_eokaku | 2019-01-20 22:16 | 物語 | Comments(0)

塩舐めとけ!塩!

こんばんは。いつもお立ち寄りありがとうございます。
はー疲れたなぁーと、仕事から帰って晩御飯作り、美味しく食べて、さぁ、片付けましょうと立ち上がったら、左足がつってる(´Д` )。痛たたた。痛くない向きにしながら歩き、数歩歩いたら、あ、痛っ。右足も同じとこつってる!!痛たたた。
そんな時に思い出す、福本さん。元阪急ブレーブスの世界の盗塁王!よく、試合中に足がつったような選手に「塩舐めとけ!塩!」とおっしゃっている。
そうだ、私も塩を舐めよう。台所でアジシオを舐める。アジシオでいいのかな?!でも効いた。(笑)
福本さんの野球実況の時の解説は面白くて大好きなので、シーズン中はよくラジオを聴いてますが、ある日、なんと。電車でバッタリ。向かいに座っておられる。もしかして福本さん??気になりながら。終点で、福本さんであることを確認してみたら、そうですとおっしゃったので、いつもラジオ聴いてます、とお伝えしました。うれしいハプニングでした。
足がつったのは、治ったからいいけど、さっき、もっと、大変なことが起きました。
奥歯が、とれた。( ゚д゚)詰めてるやつ。
お気に入りの硬い板チョコ食べながら、なんか怪しい、なんか怪しい揺れてないか?気のせいか?と思っていたら突然ボロっと( ゚д゚)。うへー。あやうく飲み込むとこだった。怪しいと感じていなかったら、飲み込んでいたかも。んー。お金使いたくないのに、風邪に引き続き、またお金が要ることを起こしてしまったなぁ。皆さまも歯は大切に。
さて、明日のチケットですが、バタバタして、まとまった時間がなく、下書き8割がたは書けているのですが、推敲がまだいるなぁと。先週は、仕事帰りの電車で推敲していたら、見事に乗り過ごしてしまった。夜の車窓は、どこなんだか、わかりにくいです。
最初は何やってんだよ、自分。と凹みましたが、向かい側のホームに行き、引き返すときには、なんだかもう、開き直ってました。ゆっくり推敲しよ、と。(苦笑)
明日は載っけられたらいいなと思っています。
あーそれにしても、歯のあった場所が、穴あきになってて、やだな。早く治療したくても明日は日曜日。(T-T)残念すぎる。

# by kigaruni_eokaku | 2019-01-19 23:00 | いろいろ | Comments(0)
以前、良い声の車掌さんの話を書きましたが、今日は人間じゃなくて野鳥の話です。
いつも駐輪場で聞こえてくる馴染みの声です。声の主がどんな鳥なのかずっと気になっていました。とにかく可愛く綺麗な声で鳴きます。しかしいつ見渡しても本人の姿なし。声だけ。
今日また声がする、今日は近い!見上げて見渡したら、屋根瓦に鳥がいた。鳩くらいか、ちょっとだけ鳩より小ぶりの鳥が。口元みたら動いてる!あー!この鳥かーっ!
自分がイメージしていたよりはるかに大きい鳥で、色が屋根瓦と同じような色だったけど、声は素晴らしい。しかもしばらく声聴いてジーっと見ても飛び立たなかった。
いつまでも見ていたい聴いていたい感じの声でしたが、いかんせん仕事に行かねばなりませぬ。仕方なし、離れたら鳥も居なくなっていた。わざわざ出て来てくれて、かなりの大サービスだったのかもしれない。

# by kigaruni_eokaku | 2019-01-15 13:33 | いろいろ | Comments(0)
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「分かってやれなくて、ごめんな。頼りがいのない男で。」ステファニーは黙って首を横に振り「私こそ、可愛くない女だったね、ごめん。」「もっと適当にやればいいんだ。お前が一番苦手なことかもしれないけど。」ダニエルが「話し中悪いが、とりあえず、食ったらどうだ。冷めたらまずくなる。」ステファニーが苦笑いして「そうだね、ジャック、食べよう。」「ああ、そうだな。」料理に手をつける。「おれ、お前が消えてしまった後、長いこと悪い酒ばかり飲んだ。どうしてやれば良かったんだろう、どうにもしてやれなかったって。ステフと一緒に飲んでいた同じ酒とは思えないくらい味が違う悪い酒をな。」話を聞いていたステファニーが、目を料理の皿から、ジャックに移し、「そうだったの。ありがとう。私のこと思い出してくれてたんだ・・・。」「そら、そうだろ。」身を乗り出す。「でも今は多少、お酒は美味しくなった?」「え?」「【飲んでる】、じゃなくて、あなた悪い酒を【飲んだ】って言った。過去形になってる。「そうだな。ずーっとグルグル考えた挙句、お父さんの会社のためになる縁談を受け入れたのかなって。だから、それをおれに言えなくて消えたのかなって思って。そうなら、何もしてやれなかったおれがステフを連れ戻す資格なんかない。愛想つかされても仕方ないよなって。ま、できれば、仕事なんか全部放ったらかして、お前を探し回りたかったけど。」(ジャック・・・。) ステファニーは知らなかった当時の気持ちを知り、切なくなる。ジャックのフォークを持つ手が止まる。ステファニーは、泣きそうになるのを気づかれないうちに引っ込める「いじめてごめん。そうだよね。食べて、食べて。」ジャックがフォークを置くと、「これ、買ってやるから。」ウエンディに目配せしてからミカエルのキャンディーを手に取りステファニーに渡す。「なんで?高いのに?」「これはな、恋が叶うキャンディーだ。」「へっ!?何、乙女チックなこと言ってるの。」ステファニーが吹き出す。ジャックは眉間にシワを寄せて「自分でも言っててちょっと違和感あるけど、とにかく、なんか叶うみたいだから。まだ決まった相手がいないなら、これ食べて、おれみたいなんじゃなくて、お前が本当に困ってること、悩んでることにちゃんと気づいて助けてくれる奴を見つけろ。」ステファニーは真顔になり、「・・・うん。分かった。ありがとう・・・。で、ジャックは叶ったの?」しんみりした表情をした後、上目遣いでそう言われ、「え?なんでそこでおれの話になる。」「ふーん。叶ってはない。」ジャックの目が泳ぐのを見逃さないステファニーに「どうでもいいだろ。でもな、こうしてステフとまさかの再会ができた。結構なご利益じゃないか?まぁ、キャンディーのおかげかどうかはわからんが自分の不甲斐なさにずっと落ち込んでたけど、こんなおれでも誰かのために何か出来るかもしれないってくらいは思えるようには変えてくれた気がしてる。力不足でお前にはしてやれなかったけど。」「そう。じゃあ、半分こしましょう。」バリっと袋を開けてステファニーがキャンディーをカウンターに散らばらせると、ジャックが「お前が全部持って行けよ。」と手を広げてスーッとステファニーの方にまとめて押す。「私はあなたより魅力的だから、半分で十分よ。あと半分であなたの、その、彼女を射止めなさいよ。」ジャックが完敗とばかりに、あえて何も言わずにため息をつくと、黙って律儀に1つずつ交互に自分側、ステファニー側にと分けて行く。分け終わって「あっ、奇数じゃないか。割り切れないとなんかイラつくな。」そう言いながらキャンディーが入っていた袋の裏を見て「グラム表示かよ。全く。」「いいからいいから。はい。」ステファニーが1個多くジャックに渡す。「ありがとう。魅力的なステファニーさん。」「いえいえ。どういたしまして。」うやうやしく返事をする。「彼氏が出来たら紹介しろよ。」冗談ぽく、でも優しい口調で言うジャックに、あっけらかんとした口調でステファニーは「結婚式の招待状を送るわ。」そう言い放った。ジャックは少し複雑な笑みを浮かべて頷きながら「・・・ああ。待ってる。必ず送れよ。」「うん。」ステファニーは身を伸ばして顔をカウンターの奥に向けて「ダニエルとウエンディも来てね。」ダニエルがなんとも言えないくしゃくしゃの笑顔で「行く。絶対行く。な、ウエンディ。」「ええ、行きますとも。」「ありがとう。じゃあ、私、そろそろ行くわ。いくら?」財布からランチ代を出そうとしたステファニーに「おれが払っとく。」ジャックが彼女の手を持ち、財布をしまわせる。ステファニーは笑って「大盤振る舞いじゃない。高いキャンディーに、ランチに。」「いいから。黙って払わせろ。先週馬券が当たった。気にするな。」ステファニーはそれがウソだとわかっていたが「それなら、ご馳走になるかな。」素直に騙されることにした。「会えて良かったわ。じゃあね。また。ダニエル、ウエンディ、ありがとうね。」ステファニーがカバンを持ち、出口で片手をあげた。ウエンディが駆け寄って、「いつでも遊びに来てね。」そう声をかけると、にっこりと頷いてステファニーは店を出て行った。

ステファニーが出て行った後の店で、ダニエルは「ジャック、泣いていいんだぞ。誰にも言わないから。」ダニエルの方が泣きそうな顔をしてそう言う。「誰にも言わないって何言ってるんだよ。なんでおれが泣くの。」「男だって泣きたいときあるさ。うん。」「泣く必要はない。あいつはおれには勿体ないからな。もっとあいつに似合った男と出会って幸せにならなきゃいけない。なるに決まってる。逃した魚が大きかったのではなくて、そもそもおれの魚じゃなかったってことだ。さ、じゃ、おれももう行くわ。」椅子から下りて立ち上がるジャックに、ウエンディが「馬券はいつものように外れたんでしょう?つけといてあげてもいいわよ。」伝票を出す。「当たるわけがない。つけても何でも払わにゃならんに変わりなし。ま、これくらいは払えるって。」ジャックはウエンディの気遣いに鼻にシワを寄せ、いたずらっ子みたいな笑みをして、札を置いた。

# by kigaruni_eokaku | 2019-01-13 16:53 | 物語

祝。再放送!

b0314689_13140753.jpeg極寒の昨日、今日、冷えすぎて、物理的に火のある暖房機の前に行きたい衝動にかられます。そんな真冬ではございますが、昨日朝の忙しい時間に、なんとなくブルーレイデッキのテレビ欄を見ていて、冬ソナの再放送を発見した。何年か前にテレビ大阪のを録画して、20話にまとまったやつは持ってるのですが、【新編集】というやつで、なんか抜け抜けで。あのシーンは?あれ?このあと、こんなんだっけ?みたいなところが多々あります。で、今週サンテレビで週頭からやっていたのか、もう3話まで来てしまってましたが、録画してみたら、始まりのスーパーに全26話とある。コマーシャルカットしてみたら正味44分くらいの放送なら、私が持ってるものよりは、切られてる場面がいくらか切られずにまんま残って見られるかもしれないなと嬉しくなりました。初めて見たのはNHKのBSでしたが、当時のはCMなしの1話1時間びっちし放送で2話一度に放送、真ん中にメイキング映像、という、ぜいたくなオンエアだった。VHSには少し残ってるかもしれないが、もう痛んでて見られないだろうなぁ。あまたの韓流ドラマの中で、やはり一番好きな作品が今でも冬のソナタ。ぺ・ヨンジュンさん本人の声も好きですが、萩原聖人さんの吹き替えも好きですねー。かなり。だいぶん前にあった映画、四月の雪は萩原聖人さんの吹き替えバージョンをわざわざ選んで、映画館へ見に行ったら、ガラガラだった。となりにいた知らないおばさまに、えらい空いてますねーと思わず話しかけてしまったくらいで。(笑)後日、当時、韓流ドラマにタプタプにはまっていたおばさまに言ったら「ありえない。ヨン様本人の声で見ないなんて、あかんで!!」と怒られた。(苦笑)作品自体は、けちょんけちょんに評価されてました。中古DVDも激安で並んでいたし。(^◇^;)私も全面的に大のお気に入り、という作品にはならなかったですが、そんなにめちゃくちゃ悪くはなかったように思います。ダブル不倫は良くないと思いますが。冬のソナタもよくよく見たら、結構ツッコミ所は満載ですが、とにかく、音楽がきれい、画面がきれい、色がきれい。どこか懐かしい空気感がやはり永遠に不滅の名作だなと思っていて、我が家では定期的に自主的に再放送しています。
# by kigaruni_eokaku | 2019-01-10 14:12 | いろいろ | Comments(0)
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「お父さんの会社はその後どうなの?」ウエンディが静かに尋ねた。ステファニーは淡々と「それなりに。沢山の人に迷惑をかけたけど、前よりはマシにはなった。少し目処も立って来た。」「そう。よかった。でもその件がなければね・・。」「ウエンディ、要らんこと言うな。」ダニエルがフライパンの魚のソテーをお皿に移しながら妻に注意する。ステファニーが明るい声で「良いのよ。ダニエル。ウエンディは私のお姉ちゃんみたいなもんだもの。ずっと私のことを心配して、なんとか良いようになって欲しいって思ってくれてたのは、よーく分かってる。」ダニエルが料理をカウンターの彼女の前において、心配そうに「そうか?それならいいが。大丈夫か。」「何が?」ステファニーは少し微笑むような顔をして問い返す。「その・・・。ジャックとは会ってないのか。」「うん・・。会えないよ。申し訳なくて・・。」「そうか・・・。すまんな。オレこそ要らんことを聞いたか。ほら、熱いうちに食べな。」「うん。ありがとう。頂きます。」と、外から声が。「ダニエル、ランチ始めたのか。暗いな。やってんなら、照明くらいつけろよ。ん?ステフ?!」タイミング悪くやってきたジャックに、ウエンディが「ランチはやってません!」カウンターの外に出て、ジャックの背中を押して店の外に出すと、「あの、今、店の中に居たの、ステフだろ?何か前と全然雰囲気違うけど。」店の前でウエンディと小競り合い。「そうだけど、あんたは今は入っちゃダメ。」地声のジャックと、小声のウエンディに、ステファニーが入り口まで出て来て「久しぶり。一緒にランチ、しようよ。ダニエル、ランチ、もう1つ」ダニエルはへの字口で、「やれやれ・・・。かしこまりました。」ジャックはステファニーの隣に腰を下ろし、「随分感じ変わったけど、似合ってるじゃないか。彼氏か、はたまた旦那さんの趣味か。」「ううん。私の行きつけの美容院の店長の趣味。」「は?」ジャックはポケットから、タバコを出して、「あ、タバコ、吸ってもかまわないか?」尋ねるとステファニーがクスッと笑い、「マナーが出来て来たじゃない。」(前はそんなこと、聞かなかった。勝手に煙をはいていたくせに。)そんなことを考えながら黙っていると、「で、いいの?だめなの?」「いいよ。別に。好きにして。」「サンキュ。で、元気にしてたのか。」「うん。病気になる暇は、なかったわね。」「ウィルはどうした。」「私が締め上げて、父のところともう一箇所、働きに行かせてるわ。我が弟ながら、ホントのバカヤローでまいっちゃうわよ。」2年ほど前、割と大きな文具メーカーを営んでいたステファニーの父親は、息子のウィルが父親に黙って会社の資金で無理な投資をして、あっという間に傾かせた。そんなことになる前から、この店で出会って意気投合して親しくしていたジャックにステファニーは相談に乗ってもらっていた。けれど、会社の状況は良くなるどころか、どんどん悪化して、合併話とステファニーの結婚話が、救世主かのようにふってわいた。ステファニーは首を縦に振るしかないのを分かりつつ、追い詰められてジャックに言っても仕方がないことを言って困らせた。「お金を貸して欲しい。」ジャックはそれは出来ないと彼女に告げた。ステファニーは言っている自分より何倍もジャックが辛いことが分かって、ある日突如彼の前から姿を消した。
その後、父の会社は、都心にあった社屋を売り払い、拠点を自分のふるさとにほど近い田舎町に移し、規模を縮小して着実に負債を減らす方向でやり直しをはかっている。ステファニーはもともと別の会社の企画営業の仕事をしていたので、その手腕を活かし今は父の会社で、自社に協力してくれるようなクライアントを開拓して歩く日々を重ねている。それは簡単なことではなかったけれど、それが、ジャックを苦しめた自分なりの償いだと思うことで力を振り絞っていた。「結婚、しなかったのか。」ジャックがタバコの灰をトントンと灰皿に落とす。「してないよ。だってそれじゃあ、反則でしょう?」「反則?」「そんな楽して解決しちゃ、いけないことだったのよ。」「楽とか、そういうんじゃないだろ。好きでもないヤツと結婚するのは。ごめんな。あの時は。」「ジャックは何にも悪くない。私があの時、言うことを間違えたよね。『お金を貸して欲しい』じゃなくて、『ジャック助けて』だけで良かった。」「ステフ・・・。おれも、おやじさんの会社なんか潰してしまえ、で良かったんだ。お前が会社をなんとか立て直す手立てを必死に考えてるのを見てたら、どうにか助けてやりたい、そればかり考えて、袋小路に入ってしまった。上司に何度も掛け合ったけど融資は許可が下りなくて、お前に一番してやりたいはずの資金調達が出来ない。致命的に情けないって思ったよ。」「ジャックは十分やってくれてた。私が素直じゃなかった。自分に出来ないことを無理にやろうとしていた。」ステファニーは目線を落とした。「ステフはやれば大抵のことが出来てしまうからな。それが良いような悪いような、だな。」ジャックはダニエルが出した料理の皿を軽く会釈して受け取り、タバコを灰皿で押し消した。

# by kigaruni_eokaku | 2019-01-08 22:10 | 物語 | Comments(0)

ビオラの謎。

b0314689_18274759.jpegこんばんは。いつも訪れていただきありがとうございます。物語を読んでくださってる方もありがとうございます。
少し前に、ビオラの色がどう変わるか観察しますと言ってました件です。
とても不思議ですが、咲き終わり、色あせた時に、同じ色にはならなかったです。淡いブルーセレストみたいな色になっていたのは、日当たりとかが影響していたのかもしれないですが、謎です。
買ってからいくつも花が咲きましたが、あの色にはあの花しかならなかった。そもそも、黄色いとこの下部に三角のワンポイントもないのです。最初の花には。
ちがう種類のビオラとしか思えない。ふしぎだなぁ。
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# by kigaruni_eokaku | 2019-01-07 18:39 | いろいろ | Comments(0)
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「うん・・・。そうらしいんだ。まだキチッとは決まってないみたいだけど。」だんだんと声が小さくなるバート。「そんな・・・。」アリッサはそれだけ言うのがやっとだった。(折角、お互いの気持ちが通じたのに・・。)「ごめんね。どこへ行ってもちゃんと連絡するし、元気出して、アリッサ。」ポンポンと頭を撫でるけど、くるりと背中を向けると「早く帰らないと、ピエロさんに、怒られるよ。」半泣きの声でそう言われて、「そうだね。じゃあ・・・。」バートが行こうとしたら「やだ。帰らないで。・・私、何、言ってるんだろう。」バートはアリッサの気持ちを考えたら、とても切ない心持ちなっていた。「そうだ。ねぇ、アリッサ、お願いがある。」「・・・何?」「ワンダーランドサーカスのみんなの衣装のデザインをして欲しい。」「えっ?衣装の?」背中を向けていたアリッサが真っ赤な目のままだけど、バートの方に振り返る。「世界で活躍するファッションデザイナーを目指しているアリッサには小さなお仕事の依頼で悪いけど。」「ううん・・・。違う。お父さんもバートも、間違ってる。」「どういうこと?」「私がなりたいのは、世界とか、そういうんじゃなくて、自分の近くにいる普通の人たちが私の作った服を着て少し幸せになれるような、そんなファッションデザイナーになりたいの。学校のダンス部の友達のユニフォームとかを頼まれて、考えてあげたりしてるの。」バートはぱあっと明るい顔になり、「すごいじゃないか!!世界よりすごい。ね、考えてみてくれない?全員の分じゃなくていいから。アリッサなりに考えてみて。」「ありがとう・・。うん。やってみる・・。」バートはアリッサの目をしっかりと見て「君なら、きっと素敵なのができるよ。頑張って。今日、アリッサの思い描く未来に確実につながる“明日”を作るんだよ。」「“明日”を、作る?」「そう。明日、どうなっていたい?今日よりちょっと良い自分でいたいって思わない?」「うん。」「夢である、ファッションデザイナーになる為に、今日は何をする?何を考える?」バートが微笑む。続けて「僕は、今日より沢山の拍手をもらえる、サーカスのスターになる。その未来のための“明日”を“今日”作る。理想の未来には一足飛びには行けないけど、それがどんな所かは分かってる。行き方も分かってる。そこへ行くチケットは皆持ってる。魔法でも、奇跡でもない自分の努力でできた確実にたどり着ける“明日のチケット”だよ。僕はそう、思ってる。その、お金で買えないチケットを、使えるかどうかは自分次第だけどね。」アリッサの目から涙は消えてバートの言葉にゆっくりとうなづいていた。バートもうなづいて「お互いに頑張ろうね。」バートはアリッサから、バス停の場所を聞くと階段を降りて行った。その背中を見て立ち尽くしていたアリッサが「バート!」駆け降りて「私、頑張るから!バートを驚かせるから!」もういくらか歩いていたバートは彼女の声に振り返ると、走って戻って一瞬アリッサを抱きしめて「やっぱり家系みたい。嬉しいとこうなっちゃう。じゃあね!」軽やかな足取りで橋を渡って、やがて街路樹の向こうにその姿は見えなくなった。アリッサは胸のあたりで広げた両手のひらを大事なものを受け取る時のようなカタチにして、自分の夢に続く明日のチケットがそこにあるかのように握りしめた。

翌日の昼時、ダニエルの店では店主のダニエルと、おかみさんが店の掃除をしていた。「ウエンディ!」20代半ばくらいに女性が入り口からひょいとおかみさんに声をかけた。「え?ステファニー!?久しぶりねー。髪型変わって見違えちゃった。元気にしていたの?」「ええ。元気よ。ダニエルとウエンディも元気だった?」ダニエルが髭面の顔をくしゃっとさせて笑い「俺たちは、美味しい酒を飲んで、みんなの笑い顔見ているからいつも元気さ。ははは。何か食ってくか。」「え?いいの?ランチやってないんでしょう?」「やってないだけで、食材はあるから。さぁ、さぁ、入れ。」「ありがとう。」ステファニーがカウンター席に慣れた様子で腰を下ろして「ジャックは、どう?飲みすぎてない?」ウエンディが「うん。最近はちゃんと歩いて帰れるくらいで、飲むのをやめてるから。」苦笑い。「それにこの頃はこれよ。」ミカエルの高い飴を指差す。いつぞやソフィアにあげていた方の、宝石みたいなセロファンに包まれた方のキャンディ袋が、二人の目の前にあった。その値段を見て「高っ!」ステファニーが驚きに思わず大きく開けてしまった口を左手で押さえる。「綺麗だけど、すっごい高いわね。こんなお菓子をジャックが?」「うん。タバコ吸えない所に仕事で行った時の口寂しさにたまに買ってるわね。最初は酷く酔ってた夜に買ってって、ボンヤリお会計済ませてったもんだから、朝起きたら財布の中身が減ってる!って、驚いたらしくて、朝っぱらから、叩き起こされて『おれ、昨日何飲んだ!?』って。」ウエンディが楽しそうに吹き出して笑う。「相変わらずね。」ステファニーの方は少し寂しげに笑った。

# by kigaruni_eokaku | 2019-01-06 15:56 | 物語 | Comments(0)
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「ありがとう。バート。嬉しい。」「ほんと?」「うん。」バートはアリッサの返事に向かい合うと、両手を握ってブンブンと振って子供のように喜んでから、ハッと我に返って、苦笑した。「喜びすぎだね。あんまり人がいなくてよかった。」とっぷりと日が落ちて、ランプが照らし出す歩道はあまり人通りはなかった。「ふふふ。そうね。でも、私もバートみたいに、宙返りとか出来たらしたいくらいよ。」アリッサが頬を染めてちょっと照れてそう言った。二人は楽しく会話しながら、歩いていたら、あっと言う間に時間が経って、気づけばアリッサの家にほど近い細い川添いの道を歩いていた。小さな橋がかかっている。「あの角の建物が私の家。1階はお父さんの会社なの。」「ふうん。」橋を渡り、アリッサに続いて建物の端の階段を上がると、玄関があった。「ただいま。」アリッサの声に「おかえり。」母親と父親らしき声が一緒に聞こえた。母親が玄関に来て、「あら。」娘と一緒にいる見知らぬ青年を見つけた。母親と目が合ったバートは「こんばんは。はじめまして。ワンダーランドサーカスで働いてるバート・フォックスといいます。」礼儀正しく挨拶すると、今度はアリッサが「ここまで送ってくださったの。」するとお母さんが、「ああ!あなた、もしかして、この子に勉強を教えてくれてる人?」「あ、はい。」明るいお母さんに、バートは若干キョトン。「ありがとう。この子の成績、すごく上がったから、驚いてるのよ。本当、ありがとう。お夕飯は?まだでしょう?食べて行ったら?そんな大したものはないけど。ねー、あなた。」お父さんにも声をかけるお母さん。「お、ああ。ふたりともそんなところにいないで、入りなさい。」「は、はぁ。ありがとうございます。でもまだ、サーカスに戻ったらしなくてはいけないことがありますので、お気持ちだけ。」バートはニッコリと笑って頭を下げた。「そうかい?それなら、エレン、何か帰って食べられるようなものを詰めてあげなさい。」「はいはい。もちろん。そこへ掛けて待っててくださいね。」アリッサがバートにソファーを勧めた。父親は仕事を終えてキッチン側のスツールでお酒を軽く飲みはじめたところといった感じだったので、グラスと、ボトルを持ってソファーの方にやってきて、「どうだい、少し。」「ごめんなさい。僕、お酒は。」バートが申し訳なさそうに首を横に振っているのを見てアリッサが、「バートはサーカスで誰もが認める一人前になるでは飲まないって決めてるんだって。」お父さんは持っていたグラスを置いて、「そうなのか。若いのにしっかりしてるんだね。アリッサと来たらいつまでも子供の落書きみたいな洋服の絵ばかり描いて、将来一体何をしたいか」「ファッションデザイナーよ。お父さん。」アリッサは父親に言い返して口を尖らせる。父親は呆れたような口調で「お前がそんなものになれると思っているのか。」そこまで言ってから今度はバートの方に向き、「うちの家業が、生地見本を作ったりクライアントの依頼に応じてあちこちの工場から服地を探したりすることなのでね、この子が小さい時から身の回りに、生地の見本帳がいっぱいあって、それをおもちゃ代わりに千切って遊んでいた延長で、そんなことを言ってるんですよ。」「そうなんですね。でも、時々彼女がノートに描いている絵はとても上手ですよ。」お父さんは苦笑いしながら、「そうですかー?」と、母親がキッチンから、出てきて「出来ましたよ。お口に合うかどうかわからないけど、どうぞ。帰ったら召し上がって。アリッサ、はい。」赤いギンガムチェックの布の包みを紙袋に入れてアリッサに手渡した。ほろ酔いのお父さんが「今日は娘を送っていただいてありがとうございました。そのうち妻と、君のサーカスを観に行くよ。」そう言ってバートに握手してきた。「ありがとうございます。では、できるだけ早く観にいらしてください。僕たち、もうすぐ別の遠くの街に行くかもしれないので。では。お母さん、お気遣い、すみません。ありがとうございます。失礼します。」「おかまいなしで、ごめんなさいね。」扉を閉めると、アリッサから紙袋を受け取った。「ね、バート、遠くの街に、行っちゃうって、ほんとなの!?」アリッサは無意識にバートの腕を両手でぎゅうっと掴んでいた。
# by kigaruni_eokaku | 2019-01-04 20:46 | 物語 | Comments(0)

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