ドキュメンタリーの映像は、ソフィアがカフェで話している様子になった。「私にとってバートは、実際は兄なんだけど、弟みたいな存在で。」クスクスと可愛く笑う。「だって私の方が長くサーカスにいるし、新入団員として入って来てからずっとその姿を見ていたから。だから本当のお兄ちゃんと知って、はじめは、えーーーー!?だったけど、私が悩んだり、落ち込んでるときに何度も助けてくれたし、バートがお兄ちゃんで良かったって思っています。」ソフィアの穏やかな表情からバートを兄と思うより前から信頼していたことが伝わる。「私は、両親や、姉と違って、過去の出来事を知らずに今があります。そんな私だから出来ることがあるかなって。」映像はソフィアの1ショットから切り替わる。少し引きの画でサーカスの稽古場所の様子に変わる。『こうしたらどう?』なんて風にバートとソフィアが身振り手振りでやってみた後に、笑いあっているいつもの自然な姿が。優しいピアノのBGM が流れて、二人の後には、ジムとケイトがサーカス開演前のリハーサルで息が合った調子で楽しそうに、馬上パフォーマンスの団員たちと話している様子。たまにシンシアがケイトと二人、肩を揺らして、仰け反って大笑い。ケイトは馬を優しく撫でたりしながら、メンバーに全体のコースに細かく手を動かして、指示を出す。ウンウンとメンバーが腕組み納得。そんな様子の後、バートとアンリがスタッフとブランコの準備をする様子に変わる。丁寧にセッティングして行く真剣な表情。確認を終えると、ジムにオッケーかい?とジェスチャーで問われ、3人が両手でOKサインをしてみせる。続いては画面いっぱいのマーメイド。まつ毛バサバサとまばたいて、ふふふと笑みを浮かべた。引き画になると、マーメイドがサラの子守をしているバートの所へやって来たところだった。ふざけてヒョイっとサラを抱き上げて力任せにギュウギュウと頬ずりしてくすぐったので、サラが逃れようと身体をねじってコロコロと笑った。その様子を見た通りすがりの団員たちも、和やかに笑う。メークはまだで、衣装だけのピエロのマックスがカメラマンを呼ぶ。カラフルなボールをたくさん持って、ジャグリングを見せて、1つずつ近くのカゴに入れていき、上を向いて最後の1球を額に乗せる。バランスを取りながら「バートには本当に幸せになって欲しい!あいつ自身が周りの人をいつも幸せにしてるから。それから、ジムとケイトにもこれからたくさんあいつの親である幸せを、全部感じて欲しい。」そういうと、頭を前に向けてボールを落として手にすると、カメラ目線になり、ピースサインをすると、最後のボールを空高く投げ上げた。